2025年度後期応用数学と臨床医工学

曜日・時限 木曜日2時限 期別 後期 週時間数 0
ナンバリング FL330508
開講学科等 医療福祉工学部-医療福祉工学科
医療健康科学部-医療科学科
教員名 松村 雅史
松村 雅史
職務履歴

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長倉 俊明
長倉 俊明
職務履歴

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目的

 人体の優れた機能を数式で表す数理モデル(ノーベル賞のテーマも多数)を学ぶことは、新しい機器や医療機器の開発につながります。特に日常生活動作を妨げることなく体調をモニタリング・予測する技術、生体と電気との関係をうまく利用した医療機器(電気メス、除細動器など)があります。この人体の優れた機能を学ぶためには、実験などで得られた現象について「なぜ、そうなるのか」という理解を深めることが重要です。
 この授業では、人体の機能に関わる現象を理解するための数学的素養について学修し、特に身近な現象を理解するために微分方程式などから数理モデルの当てはめ方を学びます。同時に医療工学において、その応用の理由を数学的にも理解を深めることを目的とします。
 授業では、数学の基礎から説明し、問題を解くことにより理解を深めるように説明します。特に臨床工学技士国家試験やME技術実力検定にある「計算問題」を多く取り入れて「計算に強くなり、理解が深める」という方針で進めていきます。
 スポーツなどを見て、その美しさや凄さを感じることがあります。からだの中で起きている神秘的な生命現象や人体のはたらきや振る舞いが如何にして実現できるかを探求することは、医療工学を学ぶ技術者には必要で、それを感知できるように学修することを期待します。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 AC 1総論
(1)臨床工学と応用数学
   総論:数学の基礎から生体の数理モデルと医療機器(信号とシステム)
   総論:臨床医工学のための応用数学(生体システムとシミュレーション)
(2)応用数学総論
   総論:数学の基礎から応用数学へ(信号とシステム)
事前学修 数学入門、微分積分学(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
2 AC 各論:代数学(数を変数として考える)
1)関数とグラフ(数と数の関係がみてわかる)
2)数の大きさをとらえる指数と対数(デシベル)
3)対数のグラフで「かくれた変化」が見える!?
4)虚数が創り出す大きな世界(複素数とベクトル)
5)音、光、振動などの波を分析する三角関数
6)色々な現象をとらえる法則、関数・方程式の立て方と解法
電磁気学、電気回路学の計算問題
細胞膜の電気的等価回路
人類の至宝exp(jπ)=-1を学ぶ
事前学修 三角関数、指数関数、対数関数、分数関数(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
3 AC 各論:微分積分学
1)関数の特徴を表す微分と積分
2)微分と積分の応用(信号の実効値、平均値の計算)
3)ガウスの定理(クーロンの法則の導出)
4)ベクトルとスカラー(電位と電界、等圧線と風の向き、等高線と勾配、温度分布と熱の移動、水位と水の流れ)
5)微分特性と積分特性の応答
6)電磁誘導(磁界の変化から電気をつくる発電機、ワイヤレス充電)
事前学修 三角関数、指数関数、対数関数、分数関数(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
4 AC 各論:微分方程式
1)微分方程式とは?(未来を予測する方程式)
2)微分方程式の基本形:変数分離系、定係数線形微分方程式
3)物体の運動を表す運動方程式(微分と積分で運動を予測する)
4)CR回路、RL回路の微分方程式(時定数、過渡応答の計算)
5)熱の伝わり方を表す微分方程式
6)流体・水位の変化を表す微分方程式
事前学修 微分方程式(変数分離)の応用(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
5 AC 各論:フーリエ級数とフーリエ変換
1) 正弦波とスペクトル
2) 一般波形(周期信号)は正弦波でつくる(フーリエ級数展開)
3)生体信号(心電図、筋電図など)のスペクトル
4)聴覚系の蝸牛(音のリアルタイム周波数分析器)
5)視覚系(虹は天然の分光器)
6)情報通信AM変調スペクトルの計算
事前学修 信号の周波数、周期、位相について調べる(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
6 AC 各論:ラプラス変換と微分方程式
1)微分方程式の解法(ラプラス変換)
2)信号・処理の流れを表すブロック線図と伝達関数
3)電気系(RLC回路)の過渡応答の計算
4)血圧制御系のモデル
5)視野制御系のモデル
事前学修 減衰振動などの2次系の概念
2次系の微分方程式ができるようになること(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
7 AC 各論:確率統計
1)標準正規分布表の見方
2)平均値、分散、標準偏差
3)回帰分析と相関係数
4)システム安全と確率、検定
事前学修 正規分布、平均値、分散、相関係数について調べる(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
8 AC 各論:医療応用と安全のための数学演習 事前学修 エネルギー計算
仕事、電力、電力量の関係(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
9 AC 各論:医療における微積分現象に関する演習 事前学修 電気メス、除細動、心臓ペースメーカー(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
10 AC 各論:医療機器の数理モデル(除細動器を例に)に関する演習 事前学修 CR回路の過渡現象、除細動器について調べる(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
11 AC 各論:電気現象・機械的現象の数理モデルに関する演習 事前学修 熱伝導、輻射、対流、熱力学第一法則(1時間)
観血的血圧計測、心不全、フォレスター分類(1時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
12 AC 各論:医療機器の数理モデル(流量計測を例に)に関する演習 事前学修 心周期、フランクスターリングの法則(1時間)
心不全治療(1時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)
13 AC 各論:応用数学と臨床医工学の総括
学修到達度問題(小テスト)
事前学修 これまでの内容(2時間)
事後学修 該当分野の復習(2時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

修得する資質・能力:知識・理解力,応用力【DP-L-1-1】【DP-L-1-2】【DP-L-1-3】
臨床医学の中で起こる事象が、数学モデルを用いると容易に理解できることがある。数理的モデルを生物や物理に応用し、偶発事象ではなく規則性があることを理解する。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 70% 50% 40% 10% 100%
小テスト、小論文 0%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 20% 50% 50% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 10% 40% 20% 20% 20% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 49% 40% 2% 7% 2% 100%

教科書・参考書

参考書:
1)臨床工学技士標準テキスト 第4版 小野 哲章(編集)、発行:金原出版
2)プレミア保存版 微分と積分 プレミア保存版シリーズ 科学雑誌Newton
3)Newton別冊『微分と積分 改訂第3版』 科学雑誌Newton
4)Newton別冊『こんなに便利な指数・対数とベクトル』 科学雑誌Newton

オフィスアワー

金曜日4限,会議や出張などで不在の場合がある.

その他

原則対面講義であるが遠隔も併用する場合があります。

実務経験のある教員による授業科目

検査・治療の現場では、様々な不規則な現象が起こるが、医師として臨床現場で治療での経験もあり、それを理解するために必要な講義内容になっている。