2025年度後期映像設計

曜日・時限 木曜日6時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング HB130905
開講学科等 総合情報学部-ゲーム&メディア学科
教員名 眞下 義和
眞下 義和
職務履歴

目的

本科目では、ビデオゲームを含む映像という表現形態を構成する諸要素を構造的に理解することを主な目標とする。
具体的には、技術的成立の流れから、現在のさまざまな商業利用シーンについて知り、加えて基本的な企画方法と工程管理方法も学ぶことで、ビデオゲームを含む映像コンテンツ制作に必要な知識・理解の基礎を身につける。
画像・映像を記録したい、鑑賞したいという意思は、生存能力として視覚に強く依存することを選択した人類の、好ましいもの、畏敬するものを自身に取り込みたい、差異を知りたい、という欲求に根ざす。
人類は科学技術の進歩と共にこの欲求を満たす商業的なサービスの発展を現在も強く推し進めている。
そのように欲求と結びついたビジネスが技術=映像表現力を進化させて来たことを踏まえ、現在の映画・TV番組・動画配信・動画広告・展示映像・インタラクティブアート・XR・ビデオゲームなどの商業映像についての概要を理解する。
また、そうした俯瞰的な視点による映像コンテンツ全般の知識をベースに、ビデオゲームを含む映像コンテンツの構想方法として、基礎的なプランニングとマネジメントを理解する。

この科目を修得することで、
デジタルゲームを主軸としたエンタテインメントコンテンツ分野の基礎的な専門知識を有し、それらを適切に応用する能力を備えられる。
デジタルゲームとエンタテインメントコンテンツ分野における基礎的な専門知識を包括的に有し、それらを適切に応用する能力を備えられる。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 遠隔:A,D 主題「実写の撮影、映写の歴史」
先史~歴史時代の画像記録方法の変遷、消費者層の広がりについて知る。
光学と化学を用いて画像を記録する写真技術の成立から、動画記録技術の成立、商業映画の成立について知る。
事前学修 写真技術の成立や、映画の成立について簡単に調べておく。(2時間)
事後学修 講義資料で示した、博物館などが公開している動画コンテンツを視聴し、講義内容を復習する。(3時間)
2 遠隔:A,D 第1回の補足:技術進歩による配給・消費形態の進化(空間的・時間的制約からの開放、双方向性の獲得)
主題「物語を展開する映像」
映画史黎明期、物語を展開する映像、映画市場の変遷
現在の日本の映画製作
映画、TVドラマ、WEBドラマなどの制作の流れ
事前学修 1900年代初期の映画について、どのようなものがあったか簡単に調べておく。(2時間)
事後学修 好きな映画の劇場公開年の興行収入、その年のトップの興行収入の映画を調べ、どんな違いが興行収入に現れているのか考える。(2時間)
3 遠隔:A,D 第2回の補足:技術進歩による配給・消費形態の進化
主題「構成・制作上の設計について」
映像構成を言葉によって行う理由と意味
実写映像制作のプリプロダクションについて、企画、粗筋(プロット)、シナリオ作成、用途別に存在するさまざまな絵コンテ、(割本、字コンテ)カット割、ビデオコンテ、香盤表などの実例を元にした基本的な紹介
事前学修 第2回で解説した制作の流れのうち、プリプロダクションについて確認しておく。(2時間)
事後学修 自身の好きな映画(アニメでも実写でも何でも良い)について、オープニングから10分程度分の、全てのカット割を洗い出して言語化してみる。(3時間)
4 遠隔:A,D 第3回の補足:香盤表の作り方
主題「CM(CF)について」
広告展開の中の一部としてのCM、広告費のイメージ、CMの電波料
CMとその他の広告展開について実際の例(web、ラジオCM、イベント、音楽ライブ/スポーツ、新聞広告、タイアップなど)
CMの作られ方
実際のCMをみて、商品サービスとターゲットの関係性、どのようなことを訴求しているのかを考える
事前学修 自身の好きな有名企業のTVCMについて、Web上に広告制作関連の記事があるか調べ、どのような狙いでどのようの制作しているのか調べてみる。(2時間)
事後学修 現在のTVCMについて、自身が視聴するTV番組の放送時間帯にどのようなものが多いか調べてみる。(2時間)
5 遠隔:A,D 第4回の補足:前回考えてもらった実際のCMのターゲット、訴求内容の解説
主題1「TVCMやweb以外の媒体を持ちいた企業広告などについて」
VP/PVについて
展示映像について
さまざまな見学施設、展示会、デジタルサイネージ
主題2「実制作上の設計1『映像を構成する最小単位から、カット・シーンなどの違いについて』」
事前学修 TVCM・Web上の動画広告以外に、どのような動画広告があるのか調べておく。(2時間)
事後学修 これまで見学・観覧したことのある施設などで目にした展示映像、街や商店で目にするデジタルサイネージについてどのようなものがあったか、あるか思い返し、どのような役割を果たしていたか考える。(2時間)
6 遠隔:A,D 第5回の補足:その他のCM以外の広告や展示映像、社内研修、空間ディスプレイ
主題1「web上の映像について」
Web上の広い意味での広告動画、実際にWeb上に存在するBtoBの広告映像を視聴する
企業IR、EC、配信動画(個人配信、企業配信)
主題2「実制作上の設計『編集を意識する』」
構成、撮影の各段階から編集を意識することについて
事前学修 自身の好きな動画配信コンテンツについて、どのようなものがあるか調べておく。(2時間)
事後学修 自身の好きな動画配信コンテンツについて、どのように収益をあげているのか想定してみる。調べて開示されているか確認する。(3時間)
7 遠隔:A,D 第6回の補足:ECの動画や、広告としての配信動画についてのおさらい
主題1「web上の映像、VOD」
VODについて、VODサービスの特徴
VODサービス企業、現在のVODサービスの特徴
TVという製品の進化
主題2「実制作上の設計『ショットのサイズ』」
代表的なショットのサイズと意味、切り取る際の考え方について
事前学修 VODサービスの配信するオリジナルコンテンツに自分の好きなものがあれば、その制作について書かれた記事を探す。(2時間)
事後学修 TV放送のドラマコンテンツとの違いや、海外と日本のコンテンツの違いについて確認しておく。(2時間)
8 遠隔:A,D 主題「生成AIの利用について」
現状の著作権との関係・課題を、官公庁発表の資料・ガイドラインから確認する
画像生成AI、3DCGモデル生成AI、楽曲生成AIなどのについての特徴を確認する
事前学修 生成AIとは何かを調べておき、映像をはじめとしたデジタルコンテンツ制作でどのように利用されているかを確認しておく。(2時間)
事後学修 実際にどのような生成AIサービスが活用できるか調べ、実際に触れてみる(3時間)
9 遠隔:A,D 第8回の補足:生成AIと著作権の再確認
主題「ビデオゲームの歴史」
ビデオゲームの定義
前身、コンピューターゲームの誕生
ビデオゲームの誕生
商用アーケードゲームへ
家庭用ビデオゲームの誕生
キラーアプリ、陳腐化、市場のクラッシュとそれ以後
事前学修 自身の好きなビデオゲームについて、そのジャンルの系譜を調べ最初の作品を探し当ててみる。(2時間)
事後学修 家庭用ゲーム機とPCゲーム、モバイルゲームについて、それぞれのプラットフォームに多いゲームジャンルを調べてみる。(3時間)
10 遠隔:A,D 第9回の補足:1990年代末頃からのPCゲーム・米国製ゲームの隆盛と、家庭用ゲーム市場の関係、ハード販売とPCプラットフォームの今後
主題「ゲーム内の映像表現」
ゲームとは、報酬と意味
ビデオゲームプレイヤーへの本質的な報酬
映像文法とビデオゲーム、2Dマップの切り替わり時のPCの向き、3DCGマップのカメラ
3DCGワールドと、プレイヤー視点であるカメラの焦点距離
PCゲームと家庭用ゲームのプレイ環境と焦点距離
映画とゲーム
事前学修 自身が良いと思うゲームの映像表現を確認しておく。(2時間)
事後学修 自身が好きなゲームは、プレイヤーに映像音声でどのような報酬を与えているのか考える。(3時間)
11 遠隔:A,D 第10回の補足:ゲーム内の映像表現について
主題「モニターの枠を超えた映像表現1」
プロジェクションマッピング
インタラクティブアート
XR(VR,AR,MR)、ホログラフィック
事前学修 TVやPCモニタを使用しない映像コンテンツにどんなものがあるのか調べておく。(2時間)
事後学修 XRについて、今後の発展や一般化についてどのようなことが必要か調べ、考えてみる。(2時間)
12 遠隔:A,D 第11回の補足:立体視差の成立、CGI、VRの誕生、MMORPGとメタバース的コンテンツ
主題「実制作上の設計『編集を意識した構図、絵コンテの描き方』」
基本的な構図についての確認
前後のカットをバランスと意味を考えて構成すること
割本、絵コンテの書き方
事前学修 立体視の成り立ち、コンピューターグラフィックスの成り立ちなど、簡単に調べておく。(2時間)
事後学修 現在のメタバース的ゲームコンテンツから、今後支持を集めそうなメタバース的コンテンツに必要な要素を考える。(3時間)
13 遠隔:A,D 主題「映像コンテンツを設計する」
まず目的を考える、評価される・価値あるものを生み出す、面白さとは
具体的な展開の設計、テンションチャート
期限・技術的な課題の解決
ゲーム制作の進行例
映像作品/ゲーム作品の設計プロセス
事前学修 自身が現在の立場でオリジナル作品を制作する場合、どのような目的で制作するのか考えてみる。(2時間)
事後学修 テンションチャートを、自身の好きなゲームや映画などのシーケンス一部を元に実際に制作してみる。(3時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

講義を通じて映像表現における要点を理解し、ゲームなどインタラクティブなコンテンツをはじめ、現代的な映像制作への取り組みを可能とするまでを目標とする。
また、経済的な視点にたった映像制作の捉え方や、実制作上の課題解決など、工程管理とその考え方なども学ぶ。

・画像・映像記録の成り立ちから、現在に至るまでの利用のされ方を説明することができる。
・商業的な映像利用について、現代のさまざまな活用シーンを説明することができる。
・ビデオゲームの成り立ちから、商業的な業界成立までの流れを説明することができる。
・ビデオゲームを含む、映像コンテンツの基本的なプランニング方法とマネジメントについて説明することができる。
・デジタルゲームとエンタテインメントコンテンツ分野における基礎的な専門知識を包括的に有し、それらを適切に応用する能力を備えられる。

科目に関連するディプロマポリシー項目
〇2024年度以降の入学生
下記、記載のカリキュラムマップを参照。
https://www.osakac.ac.jp/about/policy/faculty/
※各学科名称のカリキュラムポリシー下段の
 「カリキュラムマップ」よりご確認ください。

◯2023年度以前の入学生
修得する資質・能力:知識・理解、応用力【DP-W-1-1】
修得する資質・能力:知識・理解、応用力【DP-B-1-1】

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 25% 80% 20% 100%
小テスト、小論文 26% 100% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 39% 90% 10% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 10% 100% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 91% 9% 0% 0% 0% 100%

教科書・参考書

必要な資料は配布する。その他、特に必要な場合は講義時間内、または掲示板などで告知する。

オフィスアワー

質疑は講義内で示す講師のoecuアカウントメールへ問い合わせて下さい。
講義では講義資料、webに公開されている動画、Web上の記事、レポート制作に各自のMacbookを用います。
講義資料はデータで配布する為、受講者はPC所有者が望ましく、スマホなどのモバイルでの受講は資料確認に難があるため避けて下さい。

その他

◆出欠確認・課題について
毎回講義内で実施する小テストと、課題レポートの提出(全13回)、定期試験(レポート提出)によって成績を評価します。
これらはいずれもmoodleを活用しオンラインで実施します。
遠隔講義でですので、毎回の出欠は小テストと課題レポートの両方の提出にて確認します。
提出期限は講義後一定の猶予を設けますが、期限後の提出や未提出は欠席としますので注意して下さい。
各回の期限を過ぎても未提出の小テスト、課題レポートは、欠席となっても成績評価の対象ですので速やかに提出して下さい。
やむ得ない理由なく、最終的に毎回の小テストおよび課題レポートの未提出回数が5回以上となった場合は、欠席5回以上となり試験を受験しても単位認定できません。

課題レポートは受講生自身の考えを問いますので、生成AIを使って作成したものは提出を認めません。

◆試験
全13回の講義後、定期試験(レポート試験の提出)受験は必須です。
レポート試験のレポートを指定の期限内に提出しなかった場合は単位認定できません。

◆フィードバック
・課題(レポート、試験の答案など)については、大学が設置するe-learningシステム、moodleを利用し、次講義までに本人にフィードバックします。
・課題によっては指定期間内での修正指示や、再提出などを求める場合もあるので指示に従うこと。

◆講義資料
オンデマンドで実施しますので、講義時間外でも講義資料を確認することで受講できます。
講義資料は音声付きのパワーポイントファイルで、大学が設置するe-learningシステム、moodleを利用して配信します。
スマホなどのモバイルでの受講は資料確認に難があるため避けて下さい。

実務経験のある教員による授業科目

講師は企業の広告映像、イベント映像、官公庁・研究機関の事業・実績広告映像を制作しています。
ビデオゲームについても、商品流通説明用の映像や、WEB展開される広告、プレイ動画、CM企画映像などに携わりました。