2025年度前期現代数学入門

曜日・時限 金曜日4時限 期別 前期 週時間数 0
ナンバリング EN230107
開講学科等 工学部-基礎理工学科
教員名 名倉 誠
名倉 誠
職務履歴

https://research.osakac.ac.jp/index.php?%e5%90%8d%e5%80%89%e3%80%80%e8%aa%a0

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目的

この授業では,現代の数学を学ぶために必要な,集合や位相に関する基本的な用語・概念・考え方,とくに集合の演算,写像,同値関係や開集合・閉集合,連続写像など,様々な用語・概念を学びます.たくさんの用語・概念が登場しますが,これらは様々な現象を数学的に表すために不可欠な「言葉」です.これらを,皆さんが必要となる場面で適切に使いこなせるようになることが,この授業の目的です.

まず第1週~第4週までに複素数平面に関する基本的な知識と,オイラーの公式を学び,現代数学の世界へ入っていきます.そして第5週以降では,現代の数学を読み解き,記述する上で欠かせない数学の「言葉」を練習していきます.少し抽象的と感じる場もあるかもしれませんが,毎回の予習と復習にしっかり取り組んでください.

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 遠隔A, C 複素数(1)
複素平面,複素数の計算
事前学修 これまで各自が使用してきた数学の問題集等で,計算練習をしておくこと.(3時間)
事後学修 複素数にまつわる用語を整理し,複素数の計算のしかたを確認すること.また,複素数の計算練習をすること(3時間)
2 遠隔A, C 複素数(2)
極形式,複素数の計算の図形的な意味,ド・モアブルの定理
事前学修 複素数の計算練習をしておくこと(2時間)
事後学修 極形式で表すことの利点を整理し,掛け算・割り算の図形的な意味を理解すること.また,ド・モアブルの定理を活用して,1のベキ根を図示して求めること.(2時間)
3 遠隔A, C 複素数(3)
複素関数,とくに複素関数としての指数関数
事前学修 実数関数としての2次関数,指数関数,三角関数などを復習しておく.(2時間)
事後学修 実数の関数のときと複素関数ではどのように扱いが異なるか,その差異を整理すること.とくに複素関数としての2次関数の挙動を理解すること.(2時間)
4 遠隔A, C 複素数(4)
複素関数の微分,とくに指数関数の性質を使って三角関数の性質を導く
事前学修 実数関数の微分を復習しておく.また,極限値の求め方を復習しておく.(3時間)
事後学修 とくに2次関数,指数関数を例にして,複素関数の微分の意味を整理しておくこと.(3時間)
5 遠隔A, C 数学的文法(論理)1
全称記号と存在記号の使い方
事前学修 これまで使ってきた数学の教科書などから,「任意の」「存在する」という言い回しが使われている命題を探しておく.(2時間)
事後学修 これまでに出会った数学の命題を,全称記号や存在記号を使って表す練習をする.(2時間)
6 遠隔A, C 数学的文法(論理)2
論理式,述語,日常生活における応用
事前学修 命題の逆,裏,命題など,高校で学習した用語を復習しておく.(2時間)
事後学修 条件,命題など,授業で扱った用語を整理しておく.また,授業で説明した考え方を利用して,日常生活における会話を分析してみる.(2時間)
7 遠隔A, C 集合(1)
集合の概念,集合の演算など
事前学修 要素(元),部分集合,補集合,和集合,積集合,ド・モルガンの定理など,高校で習った用語を復習しておく.(2時間)
事後学修 授業で扱った用語を整理し,ド・モルガンの定理の証明を理解しする.また,ド・モルガンの定理の具体例を考える.(2時間)
8 遠隔A, C 集合(2)
写像,とくに全射と単射
事前学修 これまで使った教科書で「関数」の例をたくさん探しておく.(2時間)
事後学修 写像が全射であること,単車であることの定義を整理しておく.①全射であるが単射でない写像,②単射であるが全射である写像,③単射でも全射でもない写像 の具体例をそれぞれ各自で考える.(2時間)
9 遠隔A, C 集合(3)
同値関係
事前学修 Moodleの授業サイトに掲示される第9回の授業資料を予習し,疑問点を明らかにしておく.とくに,合同式や剰余類について調べておく.(2時間)
事後学修 身近な場面で同値関係の例を見つける.また,これまで使ってきた数学の教科書から,同値関係になっているものを探す.(2時間)
10 遠隔A, C 集合(4)
集合の濃度
事前学修 Moodleの授業サイトに掲示される第10回の授業資料を予習し,疑問点を明らかにしておく.とくに,可算集合/非可算集合,対角線論法について調べておく.(2時間)
事後学修 集合の「濃度」の考え方を整理しておく.(2時間)
11 遠隔A, C 位相(1)
ユークリッド空間の開集合と閉集合
事前学修 これまで使ってきた数学の教科書(とくに微分・積分)から,開区間,閉区間などの用語が出てくる定理・命題を探しておく.(2時間)
事後学修 開集合と閉集合の違いを整理する.また,①開集合だが閉集合ではない集合,②閉集合だが開集合ではない集合,③開集合でも閉集合でもない集合,などの具体例を各自で考える.(3時間)
12 遠隔A, C 位相(2)
開集合・閉集合の特徴づけ
事前学修 Moodleの授業サイトに掲示される第12回の授業資料を予習し,疑問点を明らかにしておく.(2時間)
事後学修 「位相」の抽象的な定義を整理しておく.また,「位相」の例をなるべくたくさん見つける.(3時間)
13 遠隔A, C 位相(3)
連続写像
事前学修 これまで使った数学の教科書(とくに微分・積分)から,「連続」という用語が出てくる定理や命題を探しておく.(3時間)
事後学修 写像が連続であることの定義を整理しておく.また,連続写像の具体例をなるべく多く見つける.(3時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

○修得する資質・能力:知識・理解力,応用力【DP-N-2-1】
・指数関数の性質(オイラーの公式)を利用して三角関数の性質を導き出すことができる.
・条件,命題など授業で説明した用語が理解できる.
・集合に関する用語(写像,同値関係,濃度など)の定義を理解し,簡単な集合演算ができる.
・位相に関する用語(開集合・閉集合,連続写像)の定義を理解できる.

○修得する資質・能力:コミュニケーション力【DP-N-2-2】,【DP-N-2-3】
・複素数の演算の図形的な意味が説明できる.
・全称記号,存在記号使って数学の命題を正しく表現することができる.
・集合に関する基本的な概念(写像,集合の演算,同値関係,濃度など)を正しく説明できる.
・位相に関する基本的な概念(開集合・閉集合,連続写像など)を正しく説明できる.

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 40% 75% 10% 10% 5% 100%
小テスト、小論文 0%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 40% 75% 10% 10% 5% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 20% 75% 10% 10% 5% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 75% 10% 10% 5% 0% 100%

教科書・参考書

教科書は指定しません.学習を進めていく上で,次の文献が参考になります.

(第1回~第4回の参考書)
・今吉洋一,複素関数概説,サイエンス社,1997年.(主に第1~3章)
・R.V.チャーチル・J.W.ブラウン,複素関数入門(新装版),数学書房,2007年.(主に第1~3章)

(第5回・第6回の参考書)
・本橋信義,新しい論理序説,朝倉書店,1997年.(主に2章~5章)
・井関清志,集合と論理,新曜社,1979年.(主に1章)
・中島匠一,集合・写像・論理,共立出版,2012年.(第2章,第5~6章)

(第7回以降の参考書)
・松阪和夫,集合・位相入門,岩波書店,1968年.(第1~4章)
・中島匠一,集合・写像・論理,共立出版,2012年.(第3~4章,第7章)

なお,Moodleの授業サイトにて各回の授業資料を配布します.

オフィスアワー

月曜5限,A棟3階教員室19(A-S350).学内外の用務のため,オフィスアワーでも教員が不在の可能性があります.

その他

・この授業に関する連絡は,Moodleの授業サイトで行います.毎回の授業前に,必ず確認するようにしてください.
・レポート,宿題などについては内容チェックの上で返却します.また,各回の宿題の解答例はMoodleの授業サイトに掲示しますので活用してください.

実務経験のある教員による授業科目