2025年度後期建築史・都市史2

曜日・時限 水曜日3時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EC330602
開講学科等 工学部-建築学科
建築・デザイン学部-建築・デザイン学科 建築専攻
建築・デザイン学部-建築・デザイン学科 空間デザイン専攻
教員名 南 智子
南 智子
職務履歴

目的

紀元前に始まる古代ギリシアから19世紀までの西洋建築史を時代様式ごとに概観し、近代以降の日本が学んだヨーロッパ建築がどのような考えの元に、どのように造られてきたのかを理解する。各様式と主要作品、主要建築家の特徴を理解し、建築の専門用語の知識を身に付けることで,実際に建築を見たり、建築関連の著作を読むときに理解の幅と奥行を広げる力をつける。また,西洋の建築の形が、どのような考えと影響の元に生まれたのかを知り,考えることで、計画や造形の意図を読み取る力を身につける。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 <授業内容の説明,西洋建築史と様式の成り立ち,【古代】エーゲ海文明の建築>
ガイダンスの後,ギリシア建築から19世紀までの西洋の代表的な作品写真を見ながら、社会的な出来事とともに「古代」「中世」「近世」の区分と各様式の特徴を概観し,「時代様式」という様式概念を学ぶ。ギリシア建築の出発点であるエーゲ海文明の建築を学ぶ。
事前学修 教科書P8~14,18,19を読んで予習しておく。0.5時間

事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。1時間
2 <【古代】ギリシア建築・ローマ建築1>
ギリシア神殿の特徴と制作方法であるシュンメトリアとオーダーを中心に学ぶ。代表的なギリシア神殿の特徴をアルカイック期、古典期、ヘレニズム期別に見ていく。ギリシャ建築の影響を受けたローマ建築をエトルリア時代,共和制時代,帝政期に分けて具体的な作品を見ていく。
事前学修 教科書P16~32を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
3 <【古代】ローマ建築2><「古代」の建築に関する小テスト>
ローマ建築の構法,オーダー,ビルディングタイプについて,「強・用・美」の観点から理解する。
授業中に時代様式と「古代」の建築に関する小テスト(15分間程度)。
事前学修 教科書P24~32を読んで予習。小テストに向けてP12~23を復習。4時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。2時間
4 <【中世】初期中世建築(初期キリスト教建築とプレ・ロマネスク)>
キリスト教の会堂建築の誕生から10世紀まで。代表的な教会堂を例に、バシリカ式と集中式という2つのタイプにキリスト教会建築の基本的な特徴を学ぶ。
事前学修 教科書P34~41を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
5 <【中世】ビザンティン建築・ロマネスク建築1>
東ローマ帝国で独自に展開したビザンティン建築。5世紀末から帝国が崩壊する1453年までの代表的な教会堂建築を例に、その集中式会堂のドームの構法と平面プランの特徴と変遷を中心に学ぶ。11~12世紀に教会堂全体を石造化することから生まれ発展したロマネスク建築の特徴を理解する。
事前学修 教科書P42~49を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
6 <【中世】ロマネスク建築2>
ロマネスク建築の特徴について,地方による特色を踏まえながら,修道院の教会堂などの代表的建築を見て学ぶ。
事前学修 教科書P48~57を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
7 <【中世】ゴシック建築1>
ロマネスク建築の構造や形態を基本に、12世紀後半からヨーロッパの都市に求められる大聖堂として開花したゴシック建築。空間に光を求めることが新たな形式を生んだこの様式を代表的作品を例に学ぶ。「1」では全体的な特徴を学んだ後,古典期までのフランスのゴシック建築作品を見ていく。
事前学修 教科書P58~63を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
8 <【中世】ゴシック建築2><「中世」の建築に関する小テスト>
フランスの後期ゴシック建築とイギリス,ドイツ,イタリアのゴシック建築の特徴を代表的作品を見ながら理解する。ゴシック建築について記述されたヴィラール・ド・オヌクールの『画帖』についても学ぶ。
授業中に「中世」の建築についての小テスト(15分間程度)。
事前学修 教科書P64~68を読んで予習しておく。小テストに向けてP34~63を復習。4時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。2時間
9 <【近世】ルネサンス建築1>
「古代」の再生を目指し、古代ローマ建築に模範を求めて15世紀初頭に生まれたルネサンス建築は、「古典主義様式」として「近世」のヨーロッパ建築の模範となった。その「再生」の方法とはどのようなものだったのか,全体的な特徴を理解した後,イタリアの代表的建築家の作品を見ていく。
事前学修 教科書P70~77を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
10 <【近世】ルネサンス建築2、バロック建築1>
ルネサンス建築のフランス、スペイン、ドイツ、イギリスでの展開を知る。16世紀末から現れるバロック建築については、ルネサンス建築同様「古代」の再生を目指しながら、カトリックのプロパガンダや絶対王政の権威の象徴として生み出された。この様式の特徴を概観し,イタリアの代表的作品を例に誕生の背景やルネサンス建築との違いを考える。
事前学修 教科書P78~87を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
11 <【近世】バロック建築2>
ルネサンス、バロックの時代を通して建設されたサン・ピエトロ大聖堂について見る。フランス、イギリス、スペイン、ドイツでのバロック建築の展開をそれぞれの特徴を踏まえて理解する。
事前学修 教科書P74、75、84,85,88~93を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
12 <【近世】新古典主義建築,歴史主義建築1>
18世紀後半に現れる新古典主義建築は、単純で簡素な建築の理想を古代建築に求めた。代表的作品を例に「古代」の形の再現とその背後にある近代的な思考を見ていく。19世紀になると古代の再生だけでなく,「中世」の建築を理想としてゴシック建築を再生する動きが現れた。歴史主義建築の中のゴシック・リヴァイヴァルについてピクチャレスクの流行とともに見ていく。
事前学修 教科書P94~103を読んで予習しておく。1.5時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。3時間
13 <【近世】歴史主義建築2・定期試験の説明・「近世」の建築に関する小テスト>
ロマネスク、ルネサンス、バロックなどの過去の様式を再発見する動きがゴシック・リヴァイヴァルに続いて現れた。これら歴史主義建築と呼ばれる様式の代表的作品を学ぶ。
授業中に「近世」の建築に関する小テスト(15分間程度)。



事前学修 教科書P102~109を読んで予習。小テストに向けてP70 ~101を復習。4時間
事後学修 ノートと教科書を読んで復習する。2時間

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

・各時代の様式と造形的特徴を理解できる。
・建築を文化現象として捉え、先人達が何を考えて、それをどう造ってきたのか、またそれを現代の我々がどう捉えているかを理解することができる。
・西洋建築の形に込められた意味を理解することができる。
・西洋建築の歴史は我々現代の日本人の建築の歴史でもあるということを理解できる。

本科目に関連するディプロマ・ポリシー項目
〇 2024年度以降の入学生
下記リンク先のカリキュラム・マップを参照.
URL: https://www.osakac.ac.jp/about/policy/faculty/
○2023年度以前の入学生
修得する資質・能力:知識・理解,応用力【DP-C-1-1】
          態度・志向性【DP-C-3-2】【DP-C-3-3】

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 60% 60% 20% 20% 100%
小テスト、小論文 30% 70% 30% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 0%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 10% 40% 60% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 57% 25% 0% 18% 0% 100%

教科書・参考書

教科書として西田雅嗣編著『カラー版図説西洋建築の歴史』(学芸出版社、2022年、ISBN978-4-7615-2794-5)を使用。事前・事後学修でもこれを使用する。

オフィスアワー

授業終了後に質問を受け付ける。建築史系の常勤教員を通じて質問を受け付けることも可能である。

その他

・授業はPPTを使って写真や図面などを見てもらいながら,教科書の中でも重要なポイントを中心に説明していく。授業中はノートをとりながら理解を深めること。復習はノートと教科書を読んで行うこと。授業で使ったPPTは配布しないので,しっかりとノートをとること。
・予習として教科書の該当箇所を読んでおく他,高校レベルの世界史の知識が必要なため,必要に応じて学習しておく。
・授業の中で小テストを3回行う。テスト実施日当日の講義内容からも出題する可能性がある。
・小テストは教科書のみ持ち込み可能とする場合もある。他の文献・書籍,ネットの記事などを見た場合は不正とみなし,E判定とする。
・小テストの解答は,後日Moodleにアップする。
・定期試験の内容の説明は,授業の12回目あるいは13回目で行う予定である。定期試験では教科書,他の文献・書籍など一切の持ち込み参照は不可とする。 

実務経験のある教員による授業科目