2025年度通年集中電気電子工学創成演習

曜日・時限 不定期その他 期別 通年集中 週時間数 2
ナンバリング EE330806
開講学科等 工学部-電気電子工学科
教員名 富岡 明宏
富岡 明宏
職務履歴

https://research.osakac.ac.jp/index.php?%e5%af%8c%e5%b2%a1%e3%80%80%e6%98%8e%e5%ae%8f

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、日高 淳輝
日高 淳輝
職務履歴

目的

電気電子先端技術分野におけるアクティブラーニングとして、本演習では自己の創意工夫を凝らして問題点を克服しながら、回路製作・機器開発を行うことを目的とする。弱電力制御回路の実例として、フルカラーディスプレーLED回路を採りあげる。ワンチップマイコンを利用する最先端電子部品構成は、日本が世界に誇る根幹技術である。
本演習の効果を上げるため、1日3時限を5日間で行う集中講義形式で実施し、この先端技術における基礎的な回路製造法を理解、習得する。
ワンチップマイコン電子制御回路の原理を理解し、その後アクティブ・ラーニングにて、必要な電子部品を選択して回路パターンを紙面上で設計製図した後に、思考実験により動作を検討、問題点を自己発見し回路パターンを再設計する。問題点を克服し、確定した回路パターンを回路CADソフトウェアで入力・設計した後、自動基板加工装置が受け付けるデータ(ガーバーデータ)形式に変換する。このガーバーデータに基づいて自動基板加工装置を操作し、回路基板を自動製作する。無公害の鉛フリー半田ぺ-ストを塗布したのち、半田ゴテを使わず全体溶融する新しい装着法で、製作基板に全部品を自動装着する。こうしてフルカラーLED制御回路の回路ユニットを製作し、動作テスト・実演評価を行う。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 面接授業:A,C (1)フルカラーLED制御回路、(2)AC同期モータ制御回路、(3)その他の回路
の動作説明と回路演習
事前学修 回路記号やトランジスタ動作を復習しておくこと(1時間)
事後学修 回路記号やトランジスタ動作を復習しておくこと(3時間)
2 面接授業:B,E 班分け(フルカラーLED制御回路班とAC同期モータ制御回路班、その他回路班)を実施
論理回路図から、それをプリント基板に作りこむための基板配線パターンと必要部品を考えて手書きで図面化する(本番前の予備練習)
事前学修 LEDやAC同期モータの制御等に共通する制御法を予習(1時間)
事後学修 LEDやAC同期モータの制御に共通する制御法を復習(3時間)
3 面接授業:B,D 製作基板実配線パターンと論理回路図の比較対照,思考実験による動作
確認,回路CADデータ化する方法を学ぶ
標準モデルパターンとの比較検討
事前学修 部品の大きさに注意し、実パーツが互いに衝突していないことを確認(1時間)
事後学修 修正後、再度、実パーツが互いに衝突していない、配線幅が十分か、コーナー領域の角丸め、を確認(3時間)
4 面接授業:A,C 選択テーマの回路動作を理解し、その回路に対する基板配線パターンをコンピュータ上で描く練習、図面データを基板加工データにファイル変換する練習を行う
~回路CADソフトの使い方をマスターする~
事前学修 ファイル変換および回路CADソフトについてパソコンの基本的な使い方を予習(1時間)
事後学修 ファイル変換および回路CADソフトについてパソコンの基本的な使い方を復習(3時間)
5 面接授業:E,C 基板配線パターンを回路CADソフトに入力 事前学修 基板配線パターン図の表裏をよく確認する(1時間)
事後学修 再度、基板配線パターン図の表裏、レイヤー分割の妥当性を確認(3時間)
6 面接授業:B,C 入力した基板配線パターンデータの正誤チェックとデータ変換
(ガーバーデータ一式の出力)
事前学修 pin間隔のそろえ方、同一部品のコピー、配線幅の設定など、回路CADソフトの使用方法を十分に予習(1時間)
事後学修 pin間隔のそろえ方、同一部品のコピー、配線幅の設定など、回路CADソフトの使用方法を十分に復習(3時間)
7 面接授業:A,C プリント基板の加工~基板加工装置の使い方~ 事前学修 各出力データがどのレイヤーのパターンかを把握(1時間)
事後学修 各出力データがどのレイヤーのパターンかを再度確認(3時間)
8 面接授業:E,F 基板加工のトラブルや期待通りに加工されていない箇所について、その原因を検討・討議する。 事前学修 基板を事前によく乾燥させておく(1時間)
事後学修 基板加工のトラブルを解消できているか再度確認(3時間)
9 面接授業:A,C 鉛フリーはんだ~新しいはんだ付けの方法について~ 事前学修 鉛フリーはんだについて種類や融点と特徴を予習(1時間)
事後学修 鉛フリーはんだについて取り扱いの問題点を復習(3時間)
10 面接授業:E,F 基板へのはんだペースト塗布と、部品取付
融解したはんだの表面張力により、部品が引き寄せられる効果などを検討・討議する。
事前学修 基板を清掃しておくこと(1時間)
事後学修 練習がうまくできたか検できたか検討(3時間)
11 面接授業:E,B はんだリフローと、製作ユニットのチェック
(短絡,はんだ不足等のチェック)
事前学修 講義での取り扱い注意点を予習すること(1時間)
事後学修 講義での取り扱い注意点を復習すること(3時間)
12 面接授業:E,B AC同期モータ制御回路班:別に用意されている電気自動車
モデルに製作ユニットを接続して行う動作確認
フルカラーLED制御回路班:フルカラーLED回路は混合割合と発光色との関係の確認
確認後に製作パターン・部品配置図・確認動作のレポート作成
事前学修 本演習中にとったメモをノートにまとめておく(3時間)
事後学修 ノートした事項を復習(1時間)
13 面接授業:C,F 最終到達度確認実演評価(フルカラーLED制御回路班)
レポート提出(AC同期モータの制御回路班)
事前学修 製作物各部に異常がないかチェックし実演準備しておく(2時間)
事後学修 実演した結果、動作状況などを含めて報告書にまとめる(10時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

2024年度以降入学生のディプロマポリシーとの対応
〇 専門知識・技能を修得し、実践する力【DP-E-1】
. 人と社会を理解し、自然に関する科学的知識と電気電子工学分野における基礎的な専門知識を有し、それらを適切に応用することができる
〇 コミュニケーション力【DP-E-2 】
. 知識と技術の伝達やグループ作業に必要な論理的思考力、文章力とコミュニケーション力を有し、他者と適切なコミュニケーションをとることができる
〇 自らを律し、学び続ける力【DP-E-5】
. 科学的な思考力で判断と決断を行い、粘り強い意志力で問題解決に取り組むことができる
〇 総合力【DP-E-6 】
. 新たな課題に対して、獲得した知識・技能・態度等を総合的に活用し、解決できる

https://www.osakac.ac.jp/about/policy/faculty/


2023年度以前入学生のディプロマポリシーとの対応
〇 修得する資質・能力: 知識・理解力、応用力 【DP-E-1-1】【DP-E-2-2】
ワンチップマイコンの動作を理解し説明できる。
周辺回路の電子制御動作を理解し説明できる。
〇 修得する資質・能力: コミュニケーション力【DP-E-2-1】
固体物理学の演習課題において、仲間と議論して新しい知見を得、その獲得知見を提出課題に反映させる。
〇 修得する資質・能力: 態度志向性【DP-E-3-3】
自ら設定した論理回路図の課題目標に基づき、両面配線実回路パターンを設計する力をつける。
前項を達成するために回路CADソフトをどのように活用するかをマスターする。
ていることを考察し、説明できること。
〇 修得する資質・能力: 創造的思考力【DP-E-4-1】
ドリルの摩耗や損傷への対応、孔開け位置のずれの解消など、問題解決を図りながら、自動基板加工装置の高度な操作をマスターする。
無公害の鉛フリー半田と従来の半田との特性の違いを理解し、半田ゴテを使わない新しい部品自動装着法を体得し、その利点を説明できる。
回路設計から基板加工、部品配置まで、一連の連携作業を習得し、全工程の中での各素工程の位置づけと重要性を理解する。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 0%
小テスト、小論文 0%
グループワーク 30% 40% 10% 30% 20% 100%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 20% 25% 25% 50% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 0%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 50% 25% 25% 15% 25% 10% 100%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 18% 30% 10% 32% 11% 100%

教科書・参考書

テキストは印刷して配布する。

オフィスアワー

授業期間中オフィスアワー:
富岡:火曜2限 W号館2階 W201~W203号室
日高:水曜5限、A号館3階。詳細はOECUメールにて、履修申請している全受講生に連絡

その他

A4のレポート用紙、A4方眼グラフ用紙、30cm程度の定規と三角定規を持参すること。
学生の要望に応じて、適宜報告書の内容について解説する。
 本演習はProject Based Learningとして、受講生一人ひとりが自ら考え、工夫し、実体回路の制作、動作確認まで全プロセスを貫徹する喜びを体験することが目的である。途中に出くわす困難に対しては、気軽に教員やTAに相談し、適切な助言をもらった上で、自力で問題を解決する力を養ってもらう。困難に出くわすことで、むしろ喜びが倍増することを体験する。この点が他の必修科目としての実験課題と大きく違う点である。一緒に困難を乗り越えよう!

実務経験のある教員による授業科目

富岡明宏:S61年5月~S63年9月の間、理化学研究所で研究員として勤務
理化学研究所での研究において培った知識とエレクトロニクスの実験・測定手法は、本実験で採り上げる抽象的な概念を肉付けし、具体例を通して受講生に具体的な事象イメージを伝えるのに大きな効力を発揮する。