2025年度後期無機化学

曜日・時限 金曜日5時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EN230230,EU120215
開講学科等 工学部-基礎理工学科
工学部-環境科学科
工学部-基礎理工学科 数理科学専攻
工学部-基礎理工学科 環境化学専攻
教員名 篠原 亜希子
篠原 亜希子
職務履歴

目的

 無機化学とは、有機化学(炭素化合物の化学)を除くあらゆる物質およびそれを構成する元素の構造、反応、物性を扱う自然科学の一分野であり、周期表にある100を超える元素それぞれの個性による多くの興味深い現象を解き明かす学問分野である。本講義では、無機化合物の構造、性質、反応について理解を深めていくうえで必要な理論的基礎を習得することを目的とする。特に、原子・分子・固体(結晶)の構造、ならびに、化学結合に焦点を当てて講義を進める。
 環境科学科2020年度入学以降の学生に関して,本科目は,食品衛生管理者資格,および,食品衛生監視員任用資格取得のために必要な科目ですので,資格取得を目指す学生は履修してください.

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 遠隔A 確認テスト
元素と原子の起源(原子・分子の成り立ちとその質量)
事前学修 シラバスを読み、本科目の進め方や注意事項を確認する。
テキストの1章を通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。
事前配布の資料がMoodleにある場合があるので確認しておく。(3時間)
事後学修 原子・分子の成り立ちやその質量について講義内容を整理しておく。(2時間)
2 遠隔A 周期表と元素の性質の周期性(原子核反応、周期表) 事前学修 テキストの2章の前半を通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。(1時間)
事後学修 原子核反応(3種類の壊変についての相違の整理)、周期律について説明できるように講義内容を整理しておく。(2時間)
3 遠隔A 周期表と元素の性質の周期性(イオン化エネルギーと電位金星と・原子半径と周期律)
電子の軌道と波動関数(1)(電子の軌道、量子数、シュレディンガー方程式、原子軌道)
事前学修 テキストの2章後半を通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。(1時間)
事後学修 イオン化エネルギーと電気陰性度の違いを確認しておく。周期表とイオン化エネルギー、電気陰性度、原子半径の関連を整理しておく。(3時間)
4 遠隔A 電子の軌道と波動関数(1)(軌道の形) 事前学修 テキストの3章3-1を通読し、高校化学や化学1、第3回で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。(1時間)
事後学修 原子軌道(s軌道、p軌道...)の形と各軌道に格納可能な電子数、量子数(主量子数、方位量子数、磁気量子数)について講義内容を整理しておく。(3時間)
5 遠隔A 電子の軌道と波動関数(2)(3つの量子数) 事前学修 テキストの3章3-2以降を通読し、既知の内容と未知の内容とを整理しておく。(1時間)
事後学修 元素の電子配置の表記方法、エネルギー準位図を構築する際の3つのルール(構成原理など)について講義内容を整理しておく
原子の電子配置と有効核電荷、遮蔽について講義内容を整理しておく。(2時間)
6 遠隔A 一般の原子における電子配置

ルイスの構造式と共鳴構造(1)(ルイス構造式、オクテット則、酸化数、電子対)
事前学修 テキストの3章を再度通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。(1時間)
事後学修 元素の電子配置の表記方法、エネルギー準位図を構築する際の3つのルール(構成原理など)について講義内容を整理しておく。(3時間)
7 遠隔A 例外的な電子配置を持つ原子・イオン半径

ルイスの構造式と共鳴構造(2)(共鳴構造、VSEPRモデル)
事前学修 前回の「一般的な原子の電子配置」を復習しておく。
テキストの第2章「イオン半径」について通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容を整理しておく。(2時間)
事後学修 一般的な原子の電子半径と、今回紹介した例外の違いを整理してまとめておく。(2時間)
8 遠隔A 中間まとめ(小テスト及び小テストの内容のふりかえり) 事前学修 これまでの内容を復習しておく。(3時間)
事後学修 自己採点を行い自分の理解度を確認する。不十分なところを復習する。(3時間)
9 遠隔A ルイス構造式・酸化数・共鳴構造

混成軌道と多重結合(1)(原子軌道の重なりで共有結合を考える、原子価結合法)
事前学修 テキストの第4章4-1-1~4-2-1を通読し、既知の内容と未知の内容を整理しておく。(2時間)
事後学修 ルイスの構造式、酸化数について講義内容を整理しておく.(3時間)
10 遠隔A 等電子構造・VSEPRモデル 事前学修 テキストの第4章4-1-3を再読、 4-2-2を通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。1回目からの復習をする。(3時間)
事後学修 等電子構造とVSEPRモデルについて講義内容を整理しておく。(3時間)
11 遠隔A 混成軌道 事前学修 テキストの5章を通読し、高校化学や化学1で学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。1回目からの復習をする。(3時間)
事後学修 原子価結合法とsp3, sp2, sp混成軌道について講義内容を整理しておく。多重結合をもつ分子の結合を原子価結合法を使って行う説明について講義内容を整理しておく。(3時間)
12 遠隔A 分子軌道法(1)(分子軌道法・簡単な二原子分子)
分子軌道法(2)(多電子をもつ同核二原子分子、異核に原子分子)
事前学修 テキストの第6章を通読し、すでに学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。(2時間)
事後学修 分子軌道法について自分の言葉で整理しておく。同核二原子分子(水素分子)やヘリウム原子の分子軌道とエネルギー準位について講義内容を整理しておく。複数の電子をもつ同核二原子分子の分子軌道について整理し。同核二原子分子と異核二原子分子の相違についてまとめておく。(3時間)

13 遠隔A 固体と結晶の基礎(1)(固体の基礎) 事前学修 テキストの第7章を通読し、すでに学習・習得した内容と未知の内容とを整理しておく。(2時間)
事後学修 固体の定義と、固体の種類についてテキストに沿って整理しておく。専門用語(絶縁体、半導体、導体)の違いをまとめておく。
半導体の化学的な性質を理解し、身の回りのどのようなところで使われているのかをを整理しておく。(3時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

〇2024年度以降入学生
下記、記載のカリキュラムマップを参照。
https://www.osakac.ac.jp/about/policy/faculty/
※各学科/専攻名称のカリキュラムポリシー下段の
 「カリキュラムマップ」よりご確認ください。

〇2023年度以前入学生
〇修得する資質・能力:知識・理解力、応用力【DP-N-1-1】, 【DP-U-1-1】
・元素の性質の周期性を説明できる。
・原子軌道について理解し、各原子の電子配置がかける。電子配置からその原子の特徴(陽イオンになりやすいか、陰イオンになりやすいか、どちらもなりにくいか)が予想できる。
・混成軌道やVSEPR理論に基づいて、分子の立体構造(形)を予想し、それを図解を含む文書で説明できる。
・分子軌道法について理解し、分子軌道とそこに格納される電子の関係性を図を描いて説明できる。また、分子のエネルギー準位図を描き、それを使って分子の軌道種類(結合性、反結合性軌道)を区分けし、分子の結合の結合次数を読み取ることができる。
・固体の結晶構造を理解し、共有結合、イオン結合、金属結合性の化合物の分類ができる。
・半導体の特徴を、金属と比較しながら、分子軌道法の概念を導入して説明することができる。半導体が我々の身近な電子機器の中で広く使われる理由を自分の言葉で述べることができる。
〇修得する資質・能力:コミュニケーション能力【DP-N-2-2】, 【DP-U-2-2】
・出題者の意図に合わせ、適切に設問の解答を作成できる。
〇修得する資質・能力:態度・志向力【DP-N-3-3】, 【DP-U-3-2】
・新しく得た知識を活用し、締め切りに合わせ課題に取り組むことができる。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 50% 50% 50% 100%
小テスト、小論文 0%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 50% 50% 50% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 0%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 50% 50% 0% 0% 0% 100%

教科書・参考書

教科書:「無機化学の基礎」坪村太郎・川本達也・佃俊明著(化学同人)
参考書:「基本無機化学第3版」荻野博、飛田博実、岡崎雅明著(東京化学同人)、「シュライバー・アトキンス無機化学(上)(下)第6版」M.Weller,T.Overton,J.Rourke,F.Armstrong著,田中勝久、高橋雅英、安部武志、平尾一之、北川進訳(東京化学同人)、「マクマリー 一般化学(上)(下)」John McMurry and Bobert C. Fay著、荻野博、山本学、大野公一 訳(東京化学同人)、「コットン・ウィルキンソン・ガウス 基礎無機化学 原書第3版」F. A. Cotton, G. Wilkinson, P. L. Gaus著、中原勝儼 訳(培風館)
教科書は購入し毎回の授業に持参してください。参考書は自習の際の推薦書籍です(購入必須ではありません)。

オフィスアワー

メールにて、質問を受け付ける。
メールアドレス:s-akiko@oecu.jp

その他

上表の「評価方法」における用語の意味は以下の通りです。
・定期試験またはレポート試験(50%): レポート試験(または定期試験)を、1回実施します。試験結果は返却しませんが、全体の講評を受講生にお知らせします。
・レポート、宿題(50%): 各授業後に提出いただく計13回の宿題を評価します。

実務経験のある教員による授業科目

企業において分析化学に関する業務を行ってきた経験を織り交ぜながら授業を行い、「基礎と応用」という観点から学びを深めることができるようにする。