2025年度後期物性科学

曜日・時限 火曜日2時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EN330217
開講学科等 工学部-基礎理工学科
教員名 影島 賢巳
影島 賢巳
職務履歴

https://research.osakac.ac.jp/index.php?%e5%bd%b1%e5%b3%b6%e3%80%80%e8%b3%a2%e5%b7%b3

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目的

身の回りの家電製品を取ってみても,その進歩は目を見張るばかりである.この中心的役割を担っているのが,シリコンを中心とした半導体デバイスの高機能化である.また,化学・バイオ系産業などでは固体だけではなく高分子やゲルなどのソフトマターが極めて重要である。これらの多岐にわたる物質の性質を理解するためには,原子・分子・イオンのミクロな視点から考えることが必要とされる.本講義では固体の基礎物性の物理的起源について学び、その中でも特に重要な半導体の物性についてやや重点を置いて学習する.これに加えて、ソフトマターの物性の基礎的な事項についても学ぶ.ここで得た知識をもって社会の発展のために貢献し,応用する態度・志向を身につける.

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 A, C 導入、原子間の結合(結合力と結合エネルギー,化学結合) 事前学修 化学結合の種類と特徴を復習をする(2時間)
事後学修 化学結合をする物質の構造を調べる(2.5時間)
2 A, C 結晶構造、原子の充填 事前学修 これまでの化学系の授業で学修した固体の原子充填構造を復習して置く。(2時間)
事後学修 今回の授業で新たに学習した固体の原子充填構造について復習する。(2.5時間)
3 A, C 結晶の方位と結晶面、回折のブラッグ条件 事前学修 光の干渉について復習・もしくは学習しておく(2時間)
事後学修 ブラッグの式を使って回折角の計算ができるようにする(2.5時間)
4 A, C 金属の電気伝導(ドルーデモデル) 事前学修 電磁気学で学習したオームの法則(局所形)について復習する(2時間)
事後学修 電気抵抗と電子の散乱の間の関係を復習する(2.5時間)
5 A, C 伝導電子のフェルミ=ディラク分布 事前学修 化学系の科目で学習した電子軌道の性質を復習しておく(2.5時間)
事後学修 状態密度やフェルミ=ディラクの分布関数の計算ができるようにする(2時間)
6 A, C 結晶の周期性と電子 事前学修 質点の運動エネルギーと運動量の定義について復習しておく(2時間)
事後学修 固体中の電子と自由電子の違いを説明できるようにする(2.5時間)
7 A, C 中間の振り返り 事前学修 これまでの授業内容を振り返って復習する(3時間)
事後学修 中間テストの内容とその後の解説をよく復習しておく(2時間)
8 A, C 半導体の性質1 真性半導体 事前学修 第5・6回の講義内容をよく復習して置く(2.5時間)
事後学修 導体、絶縁体、半導体の違いをバンド図から説明できるようにする(2時間)
9 A, C 半導体の性質2 不純物半導体 事前学修 周期表の13,14,15族元素の電子配置、特に最外殻の電子数について復習しておく(2時間)
事後学修 不純物半導体のキャリア濃度について復習しておく(2.5時間)
10 A, C 半導体のpn接合 事前学修 不純物半導体の基礎的な性質について復習しておく(2時間)
事後学修 pn接合近くでの電荷の分布と電場、フェルミ準位の様子について復習しておく(2.5時間)
11 A, C トランジスターの性質と応用 事前学修 pn接合ダイオードの特性を復習する(2時間)
事後学修 身近なトランジスターの応用について調べ、トランジスターのどのような特徴を活用しているか考える(2.5時間)
12 A, C ソフトマターの物性① 高分子の構造 事前学修 熱力学のエントロピーや、炭素原子間の結合の性質について復習しておく(2時間)
事後学修 高分子の構造と、その弾性の生じるメカニズムについて復習する(2.5時間)
13 A, C ソフトマターの物性② 粘弾性 事前学修 バネに関するフックの法則、および抵抗力をうける物体の運動について復習しておく(2時間)
事後学修 ソフトマターにおける特徴的な時間スケールについて復習するとともに、第8回以降の講義内容全般についてよく復習しておく(3.5時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

○修得する資質・能力:知識・理解【DP-N-1-1】
 ・固体の典型的な結晶構造が図示できる
 ・ブラッグの法則を使って結晶構造の解析ができる
 ・金属・半導体・絶縁体の区別ができる
 ・ソフトマターの力学的性質の基礎的事項を説明できる
○修得する資質・能力:汎用的技能【DP-N-2-1, DP-N-2-2】
 ・習得した知識に基づき物質の性質が正しく説明できる
○修得する資質・能力:態度・志向性【DP-N-3-3】
 ・実社会でさまざまな物質の性質がどのように利用されているかが理解できる

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 50% 40% 10% 40% 10% 100%
小テスト、小論文 0%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 30% 50% 10% 20% 20% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 20% 25% 25% 25% 25% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 40% 13% 0% 31% 16% 100%

教科書・参考書

参考書:「工学基礎物性物理学」藤原毅夫著,数理工学社

その他の参考書については講義の中で適宜紹介する.

オフィスアワー

金曜日3限,A号館3階教員室25
出張などで不在のこともあるので、あらかじめ確認してください(kageshima@osakac.ac.jp).

その他

・毎回簡単な問題演習を行う.
・化学1、物理学1~3、電磁気学を履修していれば、それらの内容をよく復習をしておくこと.
・演習に必要な関数電卓を必ず持参すること.
・授業中の演習問題についてはその場で解説するとともに、回収して、必要に応じて注意事項についてコメントを付与する。
・試験の答案は返却しないが、解説や講評をMoodle等で公開する。

実務経験のある教員による授業科目