2025年度後期固体物理学・演習

曜日・時限 木曜日1時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EE230701
開講学科等 工学部-電気電子工学科
教員名 富岡 明宏
富岡 明宏
職務履歴

https://research.osakac.ac.jp/index.php?%e5%af%8c%e5%b2%a1%e3%80%80%e6%98%8e%e5%ae%8f

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目的

電子工学の発展は,半導体を中心とする電子材料に大きく依存している。電子材料内での電子の挙動を制御,利用することによって,ダイオード,トランジスタ,レーザ,センサ等の色々なデバイスが創り出され,数多くの電子機器,情報機器を生み出してきた。本講義では,結晶の概念,結晶の性質を記述するための量子力学概論,金属および半導体内の電子状態について学び,これまで学んできた力学・熱力学・振動波動・微積分学の知識を動員して固体中の電子の振舞いについての数学課題に取組む。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 面接授業:C 数学ソフトを使った課題への取組み:数学ソフトを使った数式処理と非線形方程式の近似解法 事前学修 学科別共有フォルダーを参照して数学ソフト課題1の項目を予習しておく(1時間)
事後学修 学科別共有フォルダーを参照して数学ソフト課題1の項目を復習し,
課題1をレポートに書く。(3時間)
2 面接授業:C 数学ソフトを使った課題への取組み:数学ソフトを使ったグラフ解析 事前学修 学科別共有フォルダーを参照して数学ソフト課題2の項目を予習しておく(1時間)
事後学修 学科別共有フォルダーを参照して数学ソフト課題2の項目を復習し,
課題2をレポートに書く。(3時間)
3 面接授業:A,C 固体内原子の結合と配列:価電子数によって決まる結晶の構造(対称性) 事前学修 配布プリントの該当箇所を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの該当箇所を復習し、課題3をレポートに書く。(3時間)
4 面接授業:A,C 固体内原子の結合と配列:格子欠陥とその統計的性質 事前学修 配布プリントの「格子欠陥」を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの「格子欠陥」を復習し、課題4をレポートに書く。(3時間)
5 面接授業:A,C 固体内原子の結合と配列:結晶格子のゆらぎ:格子振動の音響モードと光学モード 事前学修 配布プリントの「格子振動(後半)」を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの「格子振動(後半)」を復習し、課題5をレポートに書く。(3時間)
6 面接授業:A,C 固体内原子の結合と配列:波動の分散関係:位相速度と群速度 事前学修 配布プリントの「波動の分散関係」を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの「波動の分散関係」を復習し、課題6をレポートに書く。(3時間)
7 面接授業:A,C 量子力学の基礎:シュレーディンガー方程式 事前学修 配布プリントの「シュレーディンガー方程式」を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの「シュレーディンガー方程式」を復習し、課題7をレポートに書く。(3時間)
8 面接授業:A,C 量子力学の基礎:自由電子の記述 事前学修 配布プリントの「自由電子モデル」を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの「自由電子モデル」を復習し、課題8をレポートに書く。(3時間)
9 面接授業:A,C 量子力学的要請をみたす統計分布:熱力学的平衡状態での電子のエネルギー分布 事前学修 配布プリントの「平衡状態での電子エネルギー分布」を予習(1時間)
事後学修 配布プリントの「平衡状態での電子エネルギー分布」を復習し、課題9をレポートに書く。(3時間)
10 面接授業:A,C 量子力学的要請をみたす統計分布:自由電子モデルによる金属の電気伝導の記述 事前学修 配布プリントの「金属の電気伝導」を予習(3時間)
事後学修 配布プリントの「金属の電気伝導」を復習し、課題10をレポートに書く。(3時間)
11 面接授業:A,C 半導体の性質:周期的ポテンシャル内の電子の運動 事前学修 配布プリントの「周期的ポテンシャル」を予習(3時間)
事後学修 配布プリントの「周期的ポテンシャル」を復習し、課題11をレポートに書く。(3時間)
12 面接授業:A,C 半導体の性質:エネルギーギャップの起源 事前学修 配布プリントの「エネルギーギャップ」を予習(3時間)
事後学修 配布プリントの「エネルギーギャップ」を復習し、課題12をレポートに書く。(4時間)
13 面接授業:A,C 半導体の性質:有効質量近似による「自由電子」としての振舞い 事前学修 配布プリントの「有効質量近似」を予習(3時間)
事後学修 配布プリントの「有効質量近似」を復習し、課題13をレポートに書く。(4時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

2024年度以降入学生のディプロマポリシーとの対応
https://www.osakac.ac.jp/about/policy/faculty/
〇 専門知識・技能を修得し、実践する力【DP-E-1】
. 人と社会を理解し、自然に関する科学的知識と電気電子工学分野における基礎的な専門知識を有し、それらを適切に応用することができる
〇 コミュニケーション力【DP-E-2 】
. 知識と技術の伝達やグループ作業に必要な論理的思考力、文章力とコミュニケーション力を有し、他者と適切なコミュニケーションをとることができる
〇 自らを律し、学び続ける力【DP-E-5】
. 科学的な思考力で判断と決断を行い、粘り強い意志力で問題解決に取り組むことができる
〇 総合力【DP-E-6 】
. 新たな課題に対して、獲得した知識・技能・態度等を総合的に活用し、解決できる

2023年度以前入学生のディプロマポリシーとの対応
〇 修得する資質・能力: 知識・理解力、応用力 【DP-E-1-1】【DP-E-2-2】
金属・半導体・絶縁体の電子準位がとるバンド構造の起源を理解すること。
〇 修得する資質・能力: コミュニケーション力【DP-E-2-1】
固体物理学の演習課題において、仲間と議論して新しい知見を得、その獲得知見を提出課題に反映させる。
〇 修得する資質・能力: 態度志向性【DP-E-3-3】
物質の電子準位バンド構造における電子充満度が、金属・半導体・絶縁体の違いを発現していることを考察し、説明できること。
〇 修得する資質・能力: 創造的思考力【DP-E-4-1】
本講義・演習で得た知見を活用して、電子素子・電子機器の性能向上や新規なデバイスを考案する力をつけること。
有機材料など新しい材料が登場してきているが、固体物理学の知見を使ってその性質を改変することにより、代替材料として利用可能になることを理解し、新規材料の開発に貢献できる視野を涵養すること。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 30% 50% 30% 20% 100%
小テスト、小論文 0%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 70% 50% 20% 10% 10% 10% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 0%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 50% 23% 13% 7% 7% 100%

教科書・参考書

教科書:プリントで配布
参考書:「よくわかる電気電子物性」(岩本光正著,オーム社)
         :「固体電子工学」(佐々木昭夫著,電子情報通信学会編コロナ社)

オフィスアワー

富岡明宏:(授業期間・期間外を問わず)火曜日、2限、W号館 W201~203(研究室)です。

その他

 2年次科目「半導体工学」の内容と関連性が深いので、復習しておくとと理解がより深まる。また2年次前期・後期の「電気電子工学実験1・2」の課題「光半導体デバイスの特性測定」で得られたレーザダイオードとLEDの特性についても、本講義と強く関連しているので、こちらも参考にしていただきたい。
 受講生の要望に応じて、適宜、提出済みの課題について追加説明を行い、回答の問題点を説明するので、その説明を生かして課題を再提出することを奨励する。1回目の点数が思わしくなくても、補足回答を書き足して再提出すれば、課題点数は改善するだろう。
 数学ソフトを多用してグラフ表示や非線形方程式の解を求める課題などは、演習室の2人席中央のモニタに、手順を表示しながら演習形式で行うので、各自積極的に参加して、なるべく授業中に課題の大半を実施すれば、課題提出は容易になるだろう。

実務経験のある教員による授業科目

富岡明宏:S61年5月~S63年9月の間、理化学研究所で研究員として勤務
理化学研究所での研究において培った物性物理学的な研究手法と得られた知識は、本講義で採り上げる抽象的な概念を肉付けし、具体例を通して受講生に具体的な事象イメージを伝えるのに大きな効力を発揮する。