2025年度後期電気電子材料

曜日・時限 火曜日4時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EE330703
開講学科等 工学部-電気電子工学科
教員名 坪井 泰之
坪井 泰之
職務履歴

目的

低炭素社会の実現が重要課題となっている現在、半導体デバイスに代表される電気電子部品はより高性能・高機能かつ低消費電力化が求められている。この要求に応えるよう、電気電子部品を構成する機能性材料の熾烈な開発競争が日夜繰り広げられている。このような電気電子材料を原子レベルで理解することは、電気電子部品の性質と機能のより深い理解へと繋がる。
本授業ではまず、機能性材料の性質を決定づける物質の構造と性質について修得することを目的とする。その後に、導電体材料、半導体材料、誘電体材料、絶縁体材料、磁性体材料、そしてオプトエレクトロニクス材料についてその構造と物性の理解を目指す。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 A 【電気電子材料の基礎】(1)量子論の夜明け

電気電子材料の性質を決める物質の構造を原子レベルから学ぶ。

[キーワード]元素の周期表と電子配置、黒体輻射、光電効果、不確定性原理
事前学修 周期表を予習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
2 A 【電気電子材料の基礎】(2)化学結合論

原子軌道、電子配置、化学結合について学ぶ

[キーワード]原子軌道、パウリの排他原理、共有結合、イオン結合、金属結合
事前学修 エネルギー準位について復習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
3 A 【導電体材料】

電気の良導体である金属は、電気電子材料として不可欠な物質である。
金属結合を学ぶためのバンド理論から、金属の基本的性質、金属の電気伝導の温度依存性について学ぶ。

[キーワード]銅、自由電子、バンド構造、格子振動、ジュール熱、ゼーベック効果
事前学修 抵抗率と電気伝導、結晶構造と周期律表などを予習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
4 A 【半導体材料1】(半導体材料の基礎)

半導体の登場は、大規模集積回路の発明・発展、それに伴うインターネットを基盤とした情報化社会へのパラダイムシフトを引き起こした。
この半導体の電気伝導と性質について学ぶ。

[キーワード]フェルミ準位、p型/n型半導体
事前学修 エネルギーバンドを復習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
5 A 【半導体材料2】(半導体材料の作製と用途)

半導体材料の作製方法とpn接合について学ぶ。

[キーワード]単結晶と多結晶、エネルギー分散曲線、半導体単結晶の精製(CZ法)、薄膜形成、pn接合、太陽電池
事前学修 pn接合の働きについて予習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
6 A 【誘電体材料1】(誘電体材料の性質)

誘電体とよばれる物質は、印加電圧に対して分極という現象を発現する。中でも強い分極を示すのが強誘電体であり、コンデンサやメモリに用いられる。
この分極という現象を中心に、誘電体材料の性質について学ぶ。
事前学修 コンデンサの種類を調べること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
7 A 【誘電体材料2】(誘電体材料の用途)

誘電体のなかには、圧力・熱・電磁波により分極する性質を示す。このような性質を利用することで身近にはたくさんのセンサーが使われている。
さまざまな誘電体の種類と、チタン酸バリウムを例にとり、結晶の単位格子についても学ぶ。
事前学修 単結晶と多結晶について復習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
8 A 【オプトエレクトロニクス材料1】(光と物質の相互作用)

2014年ノーベル物理学賞として注目を集めた青色発光ダイオードに代表されるように、オプトエレクトロニクスは光ファイバ、半導体レーザー、太陽電池など様々な研究開発が進められている。
これらオプトエレクトロニクス材料の用途を概観した後に、電磁波である光と物質の相互作用について学ぶ。

[キーワード]電磁波、蛍光、レーザー

事前学修 蛍光灯の原理について調べておくこと(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
9 A 【オプトエレクトロニクス材料2】(オプトエレクトロニクス材料の用途)

発光ダイオードと半導体レーザーを中心に、その原理と材料について学ぶ。

[キーワード]発光ダイオード、CD、太陽電池
事前学修 ここまでの講義を復習すること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
10 A 【演習と解説】

ここまでの講義を問う演習を行い、問題について解説する。
配布したプリントとノートなどを参考にする。
事前学修 ここまでの講義を復習しておくこと。
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
11 A 【磁性材料】
ハードディスクドライブに代表されるように磁性材料は、記録材料として用いられている。磁気モーメント、磁化、磁化曲線について学ぶ。

[キーワード]電子スピン、磁区、バルクハウゼン効果、ネオジム磁石
事前学修 身の回りにある磁気材料は何があるか調べる(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
12 A 【超伝導体材料】

今やリニアモーターカーの原理として知られている超電導現象であるが、電気抵抗がゼロとはどういうことが起こっているのか、超伝導現象について学ぶ。

[キーワード]マイスナー効果、ジョゼフソン効果、ロンドン方程式、第1種超電導体、第2種超電導体
事前学修 リニアモーターカーについて調べること(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)
13 A 【オプトエレクトロニクス材料1】(光と物質の相互作用)

2014年ノーベル物理学賞として注目を集めた青色発光ダイオードに代表されるように、オプトエレクトロニクスは光ファイバ、半導体レーザー、太陽電池など様々な研究開発が進められている。
これらオプトエレクトロニクス材料の用途を概観した後に、電磁波である光と物質の相互作用について学ぶ。

[キーワード]電磁波、蛍光、レーザー
事前学修 蛍光灯の原理について調べておくこと(2時間)
事後学修 講義内容を復習しておくこと。講義で紹介したトピックスを調査・自習すること。(3時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

○習得する資質・能力:知識・理解【DP-E-1-1】
1量子数とその意味と元素の電子配置との関係を理解することで、電気抵抗が発生するメカニズムを理解し金属抵抗材料の作製指針が得られる。
2半導体材料の電気的特性への不純物効果を理解することで、半導体材料の作り方とそれぞれの応用製品を理解し説明できる。
3磁性体の特性がスピン配列の仕方によって違う事、それらが磁性体の分類になることを理解することで、各種磁性体の電気電子材料としての特性を理解し説明できる。
4絶縁材料のメカニズムを金属と比較しながら理解することで、誘電体の応用指針が立てられる。
5光の粒子性と波動性について理解することで、発光ダイオードや半導体レーザーなどオプトエレクトロニクス材料の応用指針が立てられる。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 80% 70% 30% 100%
小テスト、小論文 20% 80% 20% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 0%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 0%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 72% 28% 0% 0% 0% 100%

教科書・参考書

・【参考書】電気電子材料工学(西川宏之著数理工学社)

・配布プリント

オフィスアワー

質問等がある場合、授業終了後、直接対話をします。
授業内で周知するメールアドレスに、各自が直接コンタクトをとってください。
私語などによる他の人の授業の妨げになる行為や講義に関係のない行動をとり、かつ注意に従わなかった場合、「授業での姿勢」を0点とし、かつ定期試験の受験を認めない。

その他

学生の要望に応じて、適宜、課題やテストの解答を説明する。
私語などによる他の人の授業の妨げになる行為や講義に関係のない行動をとり、かつ注意に従わなかった場合、「授業での姿勢」を0点とし、かつ定期試験の受験を認めない。

・(注意)卒業後の第二種電気工事士筆記試験免除のためには、本科目の単位を取得する必要がある。
・(注意)本講義は実務経験による電気主任技術者免状取得に関わる認定に必要な科目(科目区分:電力)である。当該科目区分の認定資格を受けたい学生は必ず修得する必要がある(※対象は2019年度以降の電気電子工学科入学者)。

実務経験のある教員による授業科目