2025年度後期材料工学

曜日・時限 月曜日4時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EH330310
開講学科等 工学部-電子機械工学科
教員名 米村 光治
米村 光治
職務履歴

目的

世界は鉄でできている。鉄は地球上の最大総質量の素材であり圧倒的な市場規模を持つ。自動車、船舶、プラント、構造物やロボットのパーツなど社会基盤を支える鉄鋼材料は精緻な組織制御で様々な性質が付与され、均質に大量生産される。また何度でもリサイクル可能、まさに”究極のテクノロジー”である。現在の鉄は理論強度の半分で未だ可能性も秘めている。鉄鋼材料を中心に、非鉄金属材料、工具などの機械材料や半導体デバイスなどの電子材料が持つ性質を原子レベルから理解することを目的として、金属材料の物理的、化学的基礎から多様な物性および機械的性質を理解し社会基盤を支える素材の種類や用途について学びます。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 金属の結晶構造と物性 事前学修 教科書および配布資料の第1章金属と結晶構造を精読し、①原子、化学結合の種類、②結晶構造と結晶格子の違いについてノートにまとめる(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第1章金属と結晶構造を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する(3時間)。
2 相変態と熱平衡論 事前学修 教科書および配布資料の第2章金属の変態と合金の構造、第3章相律と2元系平衡状態図を精読し、①原子の拡散、②相変態と③熱平衡状態図の種類についてノートにまとめる(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第2章金属の変態と合金の構造、第3章相律と2元系平衡状態図を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する(3時間)。
3 塑性変形と格子欠陥 事前学修 教科書および配布資料の第3章金属の塑性変形と格子欠陥を精読し、塑性加工の目的についてノートにまとめる(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第3章金属の塑性変形と格子欠陥を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する(3時間)。
4 金属の強化機構 事前学修 教科書および配布資料の第5章金属の強化機構を精読し、転位と強度の関係を理解する(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第5章金属の強化機構を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する。また、第一編の宿題を配布する。宿題を解答しながら、復習する。60%以上の正解で合格とする(3時間)。
5 炭素鋼の基礎 事前学修 教科書および配布資料の教科書第7章炭素鋼の基礎を精読し、状態図の作図について第3章の自由度を復習しながらノートにまとめる。第8章鋼塊・鋼材を精読し、鋼塊の製造方法による相違と役割についてノートにまとめる(3時間)。
事後学修 教科書および配布資料の教科書第7章炭素鋼の基礎を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する。(2時間)。
6 炭素鋼の塑性変形と熱処理 事前学修 第9章鋼の塑性加工を精読し、ものづくりの中で塑性加工の重要性を理解し、加工による組織形成の違いについてノートにまとめ、理解する。また、第10章炭素鋼の熱処理と実用炭素鋼を精読し、熱処理の加熱速度、到達温度と冷却速度によって形成される組織が異なる点についてノートにまとめ理解する(3時間)。
事後学修 第9章鋼の塑性加工を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する。(2時間)。
7 特殊鋼の基礎 事前学修 教科書および配布資料の第11章鋼の表面処理、第12章特殊鋼の基礎、第13章特殊鋼の炭化物と熱処理を精読し、特殊鋼とは何か?TTT図を用いてノートにまとめる。14章低合金特殊鋼、第15章高合金特殊鋼を精読し、低合金と高合金の相違、用途をノートにまとめる(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第11章鋼の表面処理、第12章特殊鋼の基礎、第13章特殊鋼の炭化物と熱処理、14章低合金特殊鋼、第15章高合金特殊鋼を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する。(3時間)。
8 磁性材料と鋳鉄 事前学修 教科書および配布資料の第16章磁性材料を精読し、磁性材料のヒステリシスループをノートにまとめ、磁気特性について理解する。第17章鋳鉄を精読し、鋳鉄の種類についてノートにまとめる。(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第16章磁性材料を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する。また、第二編の宿題を配布する。宿題を解答しながら、復習する。60%以上の正解で合格とする(3時間)。
9 アルミニウム合金 事前学修 教科書および配布資料の第18章アルミニウム合金を精読し、Alの強化方法についてノートにまとめる(2時間)。
事後学修 第18章アルミニウム合金を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する(2時間)。
10 マグネシウム合金とチタン合金 事前学修 教科書および配布資料の第19章マグネシウム合金およびチタン合金を精読し、各金属材料の結晶構造、相変態を整理し、機械的性質との関係を理解する(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第19章マグネシウム合金およびチタン合金を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する(2時間)。
11 銅合金、低融点材料およびニッケル合金 事前学修 教科書および配布資料の第20章銅合金、第21章スズ,鉛および亜鉛合金、第22章ニッケル合金,貴金属および希少金属を精読し、を精読し、各金属材料の結晶構造、相変態を整理し、機械的性質との関係を理解する(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第20章銅合金、第21章スズ,鉛および亜鉛合金、第22章ニッケル合金,貴金属および希少金属を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する(2時間)。
12 半導体材料 事前学修 教科書および配布資料の第23章特殊金属材料を精読し、合金の特徴と用途をノートにまとめる(2時間)。
事後学修 教科書および配布資料の第23章特殊金属材料を確認しながら、小テスト内容を復習し、ノートに整理する。また、第三編の宿題を配布する。宿題を解答しながら、復習する。60%以上の正解で合格とする(2時間)。
13 講義の整理と復習と模擬テスト問題 事前学修 これまでの小テスト、宿題を整理、重点課題について復習する(2時間)。
事後学修 模擬テスト問題を復習し理解を深める(2時間)。

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

〇修得する資質・能力:知識・理解力【DP-H-1-1】
・平衡状態図や拡散理論の知識を修得し、材料の組織形成を理解することができる。
・強化理論の知識を修得し、材料強度の考え方を理解することができる。
・金属材料についての知識を修得し、その特徴や用途を理解できる。
〇修得する資質・能力:汎用的技能【DP-H-2-1】【DP-H-2-2】
・鉄鋼材料や非鉄金属材料の製造プロセスや特徴についての知識を修得し、自動車、船舶、ビルディングなどの構造物の合金設計の基礎を理解できる。
〇修得する資質・能力:態度・志向性【DP-H-3-1】
・金属材料の知識を用いて、温暖化や省エネなど社会の発展のために貢献できる。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 50% 60% 20% 10% 10% 100%
小テスト、小論文 30% 60% 20% 10% 10% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 10% 60% 20% 10% 10% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 10% 60% 10% 10% 10% 10% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 60% 19% 2% 9% 10% 100%

教科書・参考書

下記教科書に沿った講義をしますので、購入必須。事前および事後学修にも必要です。小テスト、定期試験で付録の周期律表や材料データベースを使用します。試験では教科書を持ち込み可とする。
教科書:「若い技術者のための機械・金属材料第3版」矢島悦次郎、他著、丸善出版
下記参考書による簡易的な図解で理解を深めることができます。購入必須ではありません。
参考書:「図解入門最新金属の基本がわかる事典」田中和明著、秀和システム

オフィスアワー

・質問・相談がある場合は、講義終了後教室、またはMoodle、E-mailで受け付けます。A4用紙に記載して提出しても構いません。次の講義で説明または個別に解答します。

その他

・講義内容は、理解度に応じて、一部変更される場合があります。
・講義中に複数回の小テストを実施します。講義中に任意に指名し問題に解答してもらいます。
・携帯電話、スマホなど電子機器の電源は切り、机の上に置かずしまっておくこと。イヤフォン、ヘッドフォン禁止。
・定期試験は、教科書と自筆ノート持ち込み可とするので、配布資料を参考に必ず講義ノートを事前学修と事後学修で作成すること。
・試験の答案は返却しないが,問い合わせがあれば個別に解説する。冬休みの場合は,メールで回答する。
・欠席回数が5回以上の者は、定期試験を受験したとしてもE評価とする。
・授業中に課した宿題が2回以上未提出の者は、E評価とする。

実務経験のある教員による授業科目

30年間、素材メーカーに勤務し、エレクトロニクス材料や鉄鋼材料の基礎研究に従事。その間、材料開発の国家プロジェクトでも中心的な役割を果たし、特に耐熱合金では極限強化法や寿命予測法を確立した。材料工学の講義は、金属材料の基礎、鉄鋼材料、そして非鉄材料から構成され、これまでの経験を十分に授業に活かし、さらには最先端の研究内容を交え実践的教育を行う。