2025年度後期ハードウエア設計演習

曜日・時限 木曜日4時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング EE330504
開講学科等 工学部-電気電子工学科
教員名 日高 淳輝
日高 淳輝
職務履歴

目的

我々の生活を取り巻いているスマートフォンをはじめ家電製品や住宅電気設備、そして電気自動車に電気鉄道や送配電機材に至るまで様々な電気電子回路が組み込まれています。これらに必要不可欠であるセンサー回路とパワー制御回路に対して地球環境保全を含むICT社会に向けた省エネルギー化設計のために論理回路面からみた制御回路の設計手法を体得します。
具体的な本演習の目的は以下の2点です。
1)ペダルの位置などの数値情報化、もしくはパワーデバイスを含む電子回路の制御、それぞれを行える論理回路設計について考案できるようになること
2)論理回路を含む世界標準となっているハードウェア記述言語HDL(HardwareDescriptionLanguage)であるVHDLの記述を行えるようになること

※ 1)項についてはハードウェア設計のアクティブ・ラーニングとして、課題に対して工夫と検証を重ねながら問題点を克服する回路設計を行います。
→数種の課題それぞれに対してグループ毎に分かれて担当、グループ内で互いに考察・議論しながら設計してVHDL記述した回路を、シミュレーションにて、あるいはFPGA学習ボード上のFPGAで実現させ、FPGA学習ボードを実演機に接続・搭載して動作を検証する実演学習と評価を行います。

※ 2)項についてはHDLの一種であるVHDLを用いてRTL(RegisterTransferLevel)を記述し、論理合成によってゲートレベルに展開、VHDLシミュレータを用いてRTL仕様を検証します。
その検証したVHDL記述ディジタル回路について、FPGA学習ボードを使用してFPGAで実現させて動作を実感しハードウェア設計を体得します。

※(補足)本演習を通して、社会人として「活きる」ための考えかたと「設計」に挑む姿勢について理解を求め、チャレンジし続けることのできる技術者の夢について会得します。

※本年度の予定課題は、
ペダル入力による誘導モータ駆動論理回路の設計です。
具体的にはA/D変換からのエンコード、可変電圧・可変周波数(VVVF)三相交流インバータ制御についてそれぞれのディジタル回路部の設計を行います。また、回生回路の考案なども追加予定です。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 面接授業:A,C VHDLによる記述書式と、それを展開するFPGAについて 事前学修 論理素子(AND,OR,NOT等)の機能を予習しておくこと(3時間)
事後学修 演習資料にあるディジタル回路からVHDL記述を行えるように復習しておくこと(3時間)
2 面接授業:A,C VHDL対応設計ソフトウェアの取り扱いかた(プロジェクトの作成~コンパイル)
半加算器のプロジェクト作成とVHDL記述
事前学修 パソコンの基本的な使い方の復習と、論理回路の半加算器回路及び配布資料からソフトウェアの操作手順について予習しておくこと(3時間)
事後学修 VHDL記述のプログラム入力を完了させておくことと、各自のパソコン等で、演習に用いたソフトウェアが扱えるように必ず復習しておくこと(3時間)
3 面接授業:B,C VHDL対応設計ソフトウェアの取り扱いかた(テストベンチの作成~実行~解析)
半加算器のテストベンチプログラム作成
事前学修 テストベンチプログラムの作成からテストベンチ実行について配布資料より予習しておくこと(2時間)
事後学修 各自のパソコン等で、テストベンチが扱えるように必ず復習しておくこと(2時間)
4 面接授業:A,C 小テスト,全加算器について、記述(半加算器をcomponent化した全加算器の記述)とテストベンチ 事前学修 全加算器のVHDL記述とテストベンチ記述について配布資料より予習しておくこと(2時間)
事後学修 作った回路に対するテストベンチ記述が行えるように復習し、シミュレーション操作に慣れておくこと(2時間)
5 面接授業:A,C FPGA学習ボードを使った、FPGA上での半加算器回路の展開と課題(レポート)について 事前学修 正論理、負論理について予習しておくこと(2時間)
事後学修 ボード上にあるスイッチ入力回路やLED点灯回路について回路図から動作を説明できるようにすること(2時間)
6 面接授業:B,C FPGA学習ボードを使った、課題解決と修正した半加算器の動作実演 事前学修 課題解決のVHDL記述をチェックしておくこと(2時間)
事後学修 FPGAへの書き込みまでの一連の操作を復習しておくこと(2時間)
7 面接授業:A,C 4ビットマルチプレクサの動作とVHDL記述(if,elsif,else,signal,process)説明 事前学修 今題の回路の内容を予習しておくこと(2時間)
事後学修 本演習の内容を復習しておくこと(2時間)
8 面接授業:A,C 小テスト,エンコーダ,デコーダ,多数決回路 事前学修 VHDL記述について前講義内容を復習しておくこと(2時間)
事後学修 本講義の内容を復習しておくこと(2時間)
9 面接授業:A,C 組み合わせ回路と順序回路(RS-FF,同期型RS-FF) 事前学修 順序回路の特徴をテキストより予習のこと(2時間)
事後学修 本講義の内容を復習しておくこと(2時間)
10 面接授業:A,C カウンター回路,小テスト 事前学修 カウンター回路の動作について演習の資料より予習すること(2時間)
事後学修 本講義からVHDL記述内容をよく理解しておくこと(2時間)
11 面接授業:F,B 課題の出題と、その解決に向けた回路設計の検討(条件の想定,必要となる動作・機能の考察) 事前学修 今までの演習・学習内容を復習しておくこと(2時間)
事後学修 回路設計に必要となる、条件と動作・機能を想定すること(2時間)
12 面接授業:B,E,F 課題解決へ向けた回路の設計と検討(課題レポート作成) 事前学修 想定条件・動作に基づき、必要な機能を検討すること(3時間)
事後学修 課題が解決出来ているかのチェックを行っておくこと(3時間)
13 面接授業:E,F,C 作成した課題解決回路を用いた動作評価による実演学習と課題レポート提出
(FPGA実習ボードに接続した実演機を使った、作成した課題解決回路による動作の評価による学習)
事前学修 作成したVHDL記述プログラム内容にエラーの無いことを確認して、プロジェクトデータを準備しておくこと(3時間)
事後学修 実演での動作評価後にて得られた問題点のそれぞれはどの様なものだったのか?それぞれの問題点について改良するためにはどの様な工夫が必要か?について検討を行ってみる(3時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

○修得する資質・能力:知識・理解力、応用力【DP-E-1-1】(DP-E-1)
 ディジタル回路設計における用語を理解し説明できるようになること。
 論理回路の組み合わせによる動作特性を体感すること。
 組み合わせ回路と順序回路について機能の相違を理解し説明できるようになること。
 VHDL記述手法を理解し説明できるようになること。
 テストベンチのためのVHDL記述手法を理解し説明できるようになること。

○修得する資質・能力:操作技術・コミュニケーション能力【DP-E-2-1】(DP-E-2)
 VHDL対応設計ソフトウェア(QuartusII)によるVHDL記述プログラム操作法を身につけること。
 課題解決に向けての議論にチャレンジできること。

○修得する資質・能力:検証・修正・補正能力【DP-E-2-2】
 シミュレーションソフトウェア(ModelSim)の操作法を身につけて、検証を行えるようになること。
 検証結果から課題解決への仕様変更・決定を行えるようになること。

○修得する資質・能力:責任ある、社会発展を望んだ設計を楽しむ能力【DP-E-3-1】【DP-E-3-2】【DP-E-3-3】(DP-E-4,DP-E-5)
 課題が要求する回路を、思考・検証試行を経て設計できるようにすること。
 要求回路の使用場面を想定し、それに見合う仕様の決定を行うチャレンジができるようになること。

○修得する資質・能力:自身が未経験・未知であった回路を一から組み上げることを楽しむ能力【DP-E-4-1】(DP-E-6)
 ディジタル回路設計を通して、設計・創作の楽しさを体感すること。
 (創造の苦しさを経験・乗り越えて、創造の楽しさを体感する努力を持ち合わせる能力)

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 40% 25% 25% 10% 15% 25% 100%
小テスト、小論文 10% 100% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 20% 50% 20% 20% 10% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 0%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 30% 25% 25% 10% 40% 100%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 38% 22% 4% 13% 24% 100%

教科書・参考書

演習に使用するソフトウェアの操作手順等の資料は都度配布します。

参考書:VHDLで学ぶディジタル回路設計田たけお,尾知博共著CQ出版社

オフィスアワー

本演習の演習時間外での質疑応答を木曜日11時~17時にて A号館3階松浦研 or Y-103 にて行います。
oecuメールでの質問・相談も可能です。(但し、返信まで2・3日かかる場合があります)

その他

本演習の開講教室を、MyPortalもしくはMoodleにてお知らせしますので、確認して受講してください。
演習室が変更となる場合があるので、各受講生はMoodle(oecuメールも合わせて)をよく確認してください。

創作・設計を楽しみたい・チャレンジしたいという学生であれば、学科を問わずに受講してください。
→他学科からの受講の場合は学務課にご相談の上、履修してください。

解決してもらう最後の実演課題内容は難しいものですが、課題解決を是非楽しんでください。

課題での回路設計を発展させるチャレンジとしてFPGA実習ボードを用いたい場合、演習授業外にて先生とスケジュール調整にて実験センターで行います。

学生の要望に応じて、適宜報告書の内容について解説します。

実務経験のある教員による授業科目

アプリや組込みシステム(周辺回路含む)などの実装を含む試作に従事している経験から、
各基本回路構成の動作要素を把握して、要求される仕様(課題)に対して考えられる条件より
基本回路構成の組み合わせを導き出してゆく過程とその”苦楽”を楽しんでもらう演習にしています。