2025年度後期情報セキュリティ

曜日・時限 月曜日3時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング GF330306
開講学科等 情報通信工学部-通信工学科
教員名 村上 恭通
村上 恭通
職務履歴

https://research.osakac.ac.jp/index.php?%e6%9d%91%e4%b8%8a%e3%80%80%e6%81%ad%e9%80%9a

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目的

情報を数学的な取り扱いの対象とし、情報伝送の本質的な仕組みを体系化したのが情報通信理論です。
情報通信理論に支えられた通信技術の発達により、情報を①速く、②正しく、③安全に送ることが可能になりました。
上記の①,②,③を実現するためには、それぞれ、①情報理論、②符号理論、③暗号理論が必要となります。

本講義では、これらの理論のうち、③の「安全に」送るために必要不可欠であり、インターネットセキュリティの中核を担っている暗号理論を学びます。
具体的には、秘密鍵暗号と公開鍵暗号について実際にインターネットで使用されている代表的な暗号方式について学びます。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 遠隔授業:A ガイダンス・暗号と情報セキュリティ入門
・評価方法について,この講義の位置づけ,通信系のモデル
・情報セキュリティとは
事前学修 本科目のシラバスを読んでくること.
(1時間)
事後学修 この講義の位置づけを理解する.プリントのダウンロード.
(1時間)
2 遠隔授業:A,C 暗号の基礎と歴史・暗号の分類・推理小説中の暗号
・暗号用語の説明
・秘密鍵暗号と公開鍵暗号・ストリーム暗号とブロック暗号・古典暗号と近代暗号と現代暗号
事前学修 推理小説の暗号(踊る人形,黄金虫の暗号)について調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 暗号の用語・暗号の分類について理解する.
(3時間)
3 遠隔授業:A,C 情報セキュリティ技術:秘密鍵暗号と公開鍵暗号・その他のセキュリティ技術
・古典的暗号:ヒエログリフ,スキュタレー暗号,シーザー暗号,エニグマなど
・秘密鍵暗号と公開鍵暗号の特徴
・インターネットの暗号プロトコル:SSL
事前学修 歴史上有名な暗号について調べ,プリントを予習する
(2時間)
事後学修 古典的暗号について理解する.
(3時間)
4 遠隔授業:A,C 秘密鍵暗号1:秘密鍵暗号の概要・利用モード・攻撃法の種類・計算量と安全性
・秘密鍵暗号:ストリーム暗号・DES・AES
・利用モード:ECB・CBC・OFB・CFB・CTR
・攻撃法の種類:COA・CPA・KPA・CPA
事前学修 秘密鍵暗号について調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 解読に必要な計算量で安全性を評価することを理解する.
(3時間)
5 遠隔授業:A,C 秘密鍵暗号2:秘密鍵暗号の構造・標準暗号DESの概要
・Feistel構造とSPN構造,DES:DataEncryptionStandard,S-box,トリプルDES
事前学修 DESについて調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 DESのアルゴリズムを理解する.
(3時間)
6 遠隔授業:A,C 秘密鍵暗号3:新標準暗号AES(その1)
・AES:AdvancedEncryptionStandard,AESの概要,KeyExpansion
事前学修 AESについて調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 AESの概要を理解する.
(3時間)
7 遠隔授業:A,C 秘密鍵暗号4:新標準暗号AES(その2)
・AES:AdvancedEncryptionStandard,SubBytes, InvSubBytes, ShiftRows, InvShiftRows, MixColumns, InvMixColumns, AddRoundKey
事前学修 AESについて調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 AESのアルゴリズムを理解する.
DESとAESの簡易版による暗号のレポートを作成する.
(3時間)
8 遠隔授業:A,C 公開鍵暗号1:合同式と数論アルゴリズム
・群・環・体,合同式,ガロア体
・拡張ユークリッドの互除法・高速指数計算法
事前学修 有限群の計算を調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 合同式について理解して,Nを法として加減乗除冪乗の演習問題を復習する.
(3時間)
9 遠隔授業:A,C 公開鍵暗号2:離散対数問題とDiffie-Hellman鍵共有方式,ElGamal暗号
・鍵共有法,有限体,素数,原始元
・フェルマーの定理・オイラーの定理
事前学修 離散対数問題について調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 高速指数計算法による冪乗計算を復習する.
Diffie-Hellman鍵共有方式を理解する.
(3時間)
10 遠隔授業:A,C 公開鍵暗号3:素因数分解問題とRSA公開鍵暗号
・RSA暗号の鍵生成・暗号化・復号,素数生成
事前学修 RSA公開鍵暗号について調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 RSA公開鍵暗号の演習問題を復習する.
(3時間)
11 遠隔授業:A,C 公開鍵暗号4:RSA公開鍵暗号の原理
・中国人の剰余定理,復号の正当性
事前学修 中国人の剰余定理を調べ,プリントを予習する.
(2時間)
事後学修 中国人の剰余定理の演習問題を復習する.
(3時間)
12 遠隔授業:A,C 公開鍵暗号5:まとめとその他の公開鍵暗号
・その他の公開鍵暗号:楕円暗号,ナップザック暗号など
事前学修 その他の公開鍵暗号について調べる.
(2時間)
事後学修 楕円暗号・ナップザック暗号の概要を理解する.
(3時間)
13 遠隔授業:A,C 総括 事前学修 講義全体の内容を復習し,演習しておくこと.
(2時間)
事後学修 理解できなかった項目を見直す.
(1時間)

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

・修得する資質・能力: 知識・理解力、応用力 【DP-F-1-1】 
1.秘密鍵暗号と公開鍵暗号の概念を理解する.
2.古代の暗号(スキュタレー暗号,シーザー暗号)を理解する.
3.暗号設計や解読におけるコンピュータの重要性を理解する.
4.標準秘密鍵暗号DESを理解する.
5.新標準秘密鍵暗号AESを理解する.
6.暗号に必要な数学の定理と数論アルゴリズムを理解する.
7.RSA公開鍵暗号の原理を理解する.
8.Diffie-Hellman鍵共有方式の原理を理解する.
9.その他の公開鍵暗号の原理を理解する.
・修得する資質・能力:汎用的技能 【DP-F-2-1】【DP-F-2-2】
1.授業内の質問に対して積極的に回答することができる.
2.レポート課題に粘り強く取り組んで報告書を作成することができる.
・修得する資質・能力:態度・志向性 【DP-F-3-3】
MoodleやSlackを活用して自主的に学習に取り組むことができる.
・修得する資質・能力:総合的な学習経験と創造的思考力 【DP-F-4-1】
授業内で得た知識を応用して課題レポートへ取り組むことができる.

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 0%
小テスト、小論文 60% 75% 25% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 20% 25% 25% 25% 25% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 20% 25% 25% 25% 25% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 55% 20% 10% 5% 10% 100%

教科書・参考書

教科書:MoodleやSlackで配布する自作のテキスト(プリント)を用いて具体的にわかりやすく丁寧に解説します。

オフィスアワー

火曜5限(A号館2F教員室)またはMeetによる遠隔.

学内外の用務のため、オフィスアワーでも教員が教員室に不在の可能性があります。
随時、Slackや電子メールでも質問や相談を受け付けますので、活用してください。
また、来られる前にあらかじめSlackや電子メールで質問の概要を送ってもらえると早い対応ができると思います。

その他

学修内容の順序を入れ替えることがあります。

授業では資料配布・連絡・コミュニケーションにSlackを活用します。

授業中に例題を演習し、関連する課題を実習し、実習後に解説を行います。
課題については、授業内で適宜、解説・解答を行い、フィードバックします。

実務経験のある教員による授業科目

メーカーで情報セキュリティ技術に関する研究開発を行っていた実務経験を活かして、実装を意識した内容にしています。
また、実際の開発で気をつける点等のワンポイントアドバイスを交えながら授業を行います。