2025年度後期音響工学

曜日・時限 月曜日2時限 期別 後期 週時間数 0
ナンバリング EE330405
開講学科等 工学部-電気電子工学科
工学部-電子機械工学科
教員名 岩居 健太
岩居 健太
職務履歴

目的

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◆講義概要◆
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音は日常の会話・音楽・周囲の状況把握など、人間の身近な情報伝達の手段としてきわめて大きな役割を持っている。
特に、近年はスマートフォンなどの情報通信機器、および音声認識を用いた情報検索システムなどが発展し、
音を基本にした音響技術は現在の情報化時代において大変重要な技術になっている。

本講義では、上記に述べた技術の基礎となる音響工学に関する事項を一通り取り扱う。
取り扱う事項は大きく以下のものとなる。

・音の物理 (音の伝搬)
・聴覚、音声
・音響管や物体の振動
・マイク、スピーカを含めた音響機器
・信号処理技術等の音の応用技術

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◆講義の目的◆
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以下に示す音に関する知識、技術を学び、これらの知識、技術を理解・活用することを目的とする。

・音の基本的な性質、物理現象を理解し、これを他者に説明できる
・人間の聴覚、音声の原理を理解し、これを他者に説明できる
・音響機器の技術 (電気回路を含む) を理解し、これを他者に説明できる
・ディジタル音響の基礎 (ディジタル信号処理を含む) を理解し、これを他者に説明できる

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 対面講義:A,C テーマ:講義ガイダンス、音響学の基礎 (1)
音に関する基本知識を学ぶ。また、本講義で利用する数学的な基礎知識も復習する。

キーワード:三角関数、指数関数、対数関数、オイラーの公式、音の基本式、音速、波長、周波数
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
特に、高校物理における音速、周波数、波長の関係式を復習しておくこと。
また、数学のうち、三角関数、対数関数、複素数、微分、積分を復習しておくこと
(微積分に関しては、偏微分、重積分も復習し、初等関数の微積分も復習しておくこと)。

教科書:第1章、付録
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
2 対面講義:A,C テーマ:音響学の基礎 (2)
音に関する物理現象のうち、音の伝搬に関する事項を学習する。

キーワード:音波の伝搬、波面、平面波、球面波、音の強さレベル、音圧レベル、可聴周波数、音波の減衰、音波の屈折、音波の反射、定在波、音波の回折
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第1章、第8章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
3 対面講義:A,C テーマ:音響学の基礎 (3)
音に関する物理現象のうち、振動現象と関連する事項を学習する。

キーワード:音速、粒子速度、単振動、共振現象、エネルギー保存則、ヘルムホルツ共鳴器、音響インピーダンス
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第8章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
4 対面講義:A,C テーマ:音の周波数解析
音波の周波数解析の方法 (フーリエ解析) を学ぶ。

キーワード:音の時間波形、音響信号の分類、音の周波数スペクトル、フーリエ級数展開、フーリエ変換、白色雑音
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第1章、第9章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
5 対面講義:A,C テーマ:理解度確認テスト (1)
第1~4回講義の内容の理解度確認テストおよび解説
事前学修 ◆第1~4回講義の復習 (3時間)
用語の理解、解説した式を用いた計算練習、音声波形・音声スペクトルの作図などの復習

*計算練習、作図に関しては、資料を見るだけでなく、
 自身の手を動かして計算、作図すること。
事後学修 ◆確認テストおよび講義内容の復習 (3時間)
確認テストの内容の復習、特に解けなかった問題に関して復習、本時で解説した内容の復習
6 対面講義:A,C テーマ:聴覚と音声
音を聞く仕組み、発声の仕組みを学習する。

キーワード:方向知覚、両耳間強度差、両耳間時間差、頭部伝達関数、外耳、中耳、内耳、
音の3要素、声帯、声道、有声音、無声音、調音器官、基本周波数、フォルマント周波数
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:(聴覚) 第2章、(音声) 第4章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
7 対面講義:A,C テーマ:室内音響と騒音
室内における音の伝搬の様子と評価方法を学ぶ。
また、騒音の計測方法および遮音に関して学ぶ。

キーワード:音場、直接音、反射音、吸音率、反射率、残響時間、セイビンの式、室内インパルス応答、騒音計、A特性フィルタ、遮音、質量則
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第6章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
8 対面講義:A,C テーマ:音の収録、再生技術
マイクロホンおよびスピーカに関して、その原理と性能評価方法について学ぶ。また、オーディオケーブルの基礎を学ぶ。

キーワード:電気音響変換器、動電型マイクロホン、静電型マイクロホン、感度、周波数特性、指向性、動電型スピーカ、エンクロージャ、出力音圧レベル、最低共振周波数、定格インピーダンス、定格電力、ケーブル端子、電気インピーダンス

事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第3章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
9 対面講義:A,C テーマ:理解度確認テスト (2)
第6~8回講義の内容の理解度確認テストおよび解説
事前学修 ◆第6~8回講義の復習 (3時間)
用語の理解、解説した式を用いた計算練習、音声波形・音声スペクトルの作図などの復習

*計算練習、作図に関しては、資料を見るだけでなく、
 自身の手を動かして計算、作図すること。
事後学修 ◆確認テストおよび講義内容の復習 (3時間)
確認テストの内容の復習、特に解けなかった問題に関して復習、本時で解説した内容の復習
10 対面講義:A,C テーマ:音のディジタル処理 (1)
音響信号のディジタル化の方法について学習する。

キーワード:標本化、標本化定理、エイリアシング、量子化、量子化雑音、AD変換、DA変換
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第9章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
11 対面講義:A,C テーマ:音のディジタル処理 (2)
ディジタルシステムのふるまいを、線形時不変システムを通じて学ぶ。
また、畳み込み、周波数特性を基本とするシステムの解析手法も学習する。

キーワード:移動平均フィルタ、ブロック図、畳み込み、インパルス応答、線形性、時不変性、因果性、周波数特性、z変換、伝達関数
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第9章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
12 対面講義:A,C テーマ:音のディジタル処理 (3)
ディジタル信号に対する周波数解析方法、およびディジタルフィルタの設計法を学ぶ。

キーワード:離散時間フーリエ変換、離散フーリエ変換、窓関数、理想ローパスフィルタ、直線位相フィルタ
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (2時間)
教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第9章
事後学修 ◆講義内容の復習 (2時間)
用語の理解および取り扱った式による計算練習

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。
13 対面講義:A,C テーマ:講義の総評
本講義のまとめを行い、その後、最新の音響技術を一部紹介する。

キーワード:サラウンド音響システム、マイクロホンアレイ、ブラインド音源分離、アクティブノイズコントロール、音響エコーキャンセラ
事前学修 ◆授業計画中のキーワードに関する学習 (4時間)
第1~12回講義の内容を復習すること。
また、教科書、各種文献、あるいはホームページなどを利用し、キーワードの内容を調べること。

教科書:第3章
事後学修 ◆講義内容の復習 (4時間)
・第1~12回講義の内容を再度復習すること
 (用語の理解および取り扱った式による計算練習)。
・第13回講義の内容を復習すること。

*計算練習に関しては、必ず自身の手で行うこと。
*用語に関しては、身近な例などを挙げて、自身で説明できるようにすること。

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

○習得する資質・能力:知識・理解【DP-E-1-1】
音響工学の基本である音声、聴覚、電気音響、室内音響、
および音響工学に関連するディジタル信号処理を一通り理解し、
これらの内容を他者に説明する等、自身の手で知識を活用できる。

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 50% 70% 30% 100%
小テスト、小論文 30% 70% 30% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 0%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 20% 100% 100%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 56% 24% 0% 20% 0% 100%

教科書・参考書

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◆教科書◆
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授業はスライド資料に沿って行います。

スライド資料をデータで配布しますが、
内容を十分に理解するために、下記のテキストの購入をお勧めします。
(テキストの購入は必須ではありません)

鈴木陽一、他、音響入門シリーズA-1 音響学入門、コロナ社

★スライド資料は各自で印刷し、講義に持参すること。
 印刷した資料を持参しない場合、ノート等で必要事項を書きとること。

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◆参考書◆
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(音響工学、オーディオ学についての参考書)
◆参考書1◆
日本音響学会編、音響学入門ペディア、コロナ社

*本講義で扱う音響学の事項について、やさしい文章で解説しています。

◆参考書2◆
日本音響学会(編)、大賀寿郎(著)、オーディオトランスデューサ工学-マイクロホン,スピーカ,イヤホンの基本と現代技術-、コロナ社

*スピーカの設計法に関連する等価回路理論についての文献となっています。
 スピーカなどの電気音響機器について、理論や測定方法などを勉強したい方におすすめします。

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(ディジタル信号処理についての参考書)
◆参考書3◆
貴家仁志(著)、ディジタル信号処理のエッセンス、オーム社

*ディジタル信号処理の基礎について、例題を交えて解説しています。

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(音声音響信号処理についての参考書)
◆参考書4◆
川村新(著),黒崎正行(著),尾知博(監修)、ディジタル音声&画像の圧縮/伸長/加工技術、CQ出版

*ノイズ除去などの音声信号処理応用について、プログラミングしてみたい方におすすめします。
(ScilabやMatlabでのプログラミングも勉強できます)

◆参考書5◆
青木直史(著)、C言語ではじめる音のプログラミング~サウンドエフェクトの信号処理~、オーム社

*ディレイやリバーブなどの音響効果のプログラミングを勉強したい方におすすめします。
(C言語での音響信号処理プログラミングを勉強できます)

◆参考書6◆
荒木雅弘(著)、イラストで学ぶ音声任氏、講談社

*音声認識に関する基本事項を学習できます。
 カラーイラストが豊富に使用されているため、読みやすいです。
 また、音声、聴覚に関する基本事項もわかりやすく解説されているため、
 音声分野の学習の際に役立つ1冊です。

オフィスアワー

・原則、 電子メール(アドレスは授業内でお知らせします)にてお願いします。
 メールによる問い合わせの際には,下記の文例に従いメールを送付すること。
 (下記に従わない場合、返答できない場合があります)

 件名:【OECU音響工学】第○回講義に関する質問,と記述すること。
 
 本文:冒頭に、

 大阪電気通信大学 音響工学担当 岩居先生
 自身の名前

 を記述すること。

・対面での対応を希望する場合,
 講義当日、9:30~10:30の間に
 A号館1F講師控室にて対応します。
 事前にメールにて、対面での対応を希望する旨、お知らせください。
 
 ただし、他の業務との兼ね合いにより、
 上記時間帯に不在となる場合がありますので、
 ご了承ください。

その他

・授業の事前・事後の学修を推奨します。
 事前学習:講義資料、または教科書の該当箇所の内容確認
      (理解できない点がどこか、マークするだけでOKです。)
 事後学習:講義内容の理解、演習課題への取り組み
      (講義資料を写し直すだけでも力が付きます)

・出席が9回に満たない (出席が2/3未満の) 学生に関しては、
 定期試験 (あるいは定期試験に代わるレポート試験) を受験したとしても
 E評価とする。 
 *公欠、病欠等の扱いについては、大学の規定に従うものとします。

 *出席が2/3未満とは、全13回の講義のうち出席が8回以下の場合 (5回の欠席) を指します。
  出席が9回以上の場合、定期試験の有資格者であり、成績評価の対象となります。

 *遅刻の場合、入室時刻に応じて出席点を減点します。

・理解度確認テストの解答はその時間内に配布し、その内容を解説します。

・なお、授業進度、内容は諸事情により変更や追加されることがあります。

・「電気数学・演習」、「電気回路1」の履修内容を前提とします。
 (上記講義の未受講生に配慮し、必要を認めた場合は授業で適宜フォローします)

・数学の基本事項を復習することを推奨します。
 (三角関数、複素数、オイラーの公式、対数関数、微積分、フーリエ変換)
 特に、計算練習を推奨します。

実務経験のある教員による授業科目