2025年度後期電磁気学2

曜日・時限 水曜日3時限 期別 後期 週時間数 2
ナンバリング GF230112
開講学科等 情報通信工学部-通信工学科
教員名 野竹 孝志
野竹 孝志
職務履歴

https://research.osakac.ac.jp/index.php?%e9%87%8e%e7%ab%b9%e3%80%80%e5%ad%9d%e5%bf%97

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目的

電磁気学は電気系技術の基礎をなすばかりでなく,電磁現象という重要な物理現象に対する考え方を提示する学問体系でもある。特に、無線通信工学におけるアンテナ理論,電波伝搬論,移体通信,マイクロ波回路等,あるいは光通信工学における光波伝搬論,光ファイバ工学等を理解する上で不可欠な講義科目であり、これらの高年次の科目を理解するための基礎知識が得られる。ここでは2年次前期の電磁気学1に引き続き,さらに高度な電磁気現象を詳しく説明することで電磁気学全体の体系を把握することを目指す。さらに,電磁波全般を取り扱うための基盤となる知識と基礎的な技術を習得することを目的とする。

授業計画

授業回 形式 学修内容 学修課題
1 A,C 電磁気学2で扱う磁界を理解するうえで基礎となる電流の性質について、電磁気学1で扱った電荷や電位との関係において述べる。また抵抗とオームの法則の基本事項について、電磁気学的は方法で説明する。
事前学修 電流と電荷の関係をプリントで調べておくこと(2時間)。
事後学修 電流から電荷量を計算できる様にすること(2時間)。
2 A,C 様々な素材の抵抗を求めるときに重要な抵抗率を説明する 事前学修 抵抗率について予習しておくこと(2時間)。
事後学修 抵抗率から電線等の抵抗値を求める様にすること(2時間)。
3 A,C 様々な形状の素材の抵抗率が与えられたとき、電流の流れるある特定の方向に対する抵抗を求める方法を例題や演習問題により説明する。 事前学修 抵抗率と抵抗の関係を復習しておくこと(2時間)。
事後学修 円筒形や球形の導体と抵抗率を例題により計算できる様にすること(2時間)。
4 A,C 磁石等の磁性体によって生じる磁界の性質を述べ、正負すなわちN極とS極の間に働く力と、二つの磁極を有する磁石間に働く力を説明する 事前学修 磁性体の間のクーロンの法則を予習すること(2時間)。
事後学修 二つの磁石間に働く力を例題により求められる様にすること(2時間)。
5 A,C 磁石が微小な場合の磁気ダイポールよる周囲の磁界を、磁位の概念を導入して極座標で表すことにより導出する。磁石の磁極の大きさと長さの積で与えられる磁気モーメントについて説明する。 事前学修 磁気ダイポールについて調べておくこと(2時間)。
事後学修 磁気ダイポールよる周囲の磁界を例題により計算できる様にすること(2時間)。
6 A,C 電流によって発生する磁界の特徴を述べ、アンペアの周回積分の法則について説明する。また、無限長円柱導体の内外やソレノイドコイル内に発生する磁界の計算方法を示す。 事前学修 アンペアの周回積分の法則について予習のこと(2時間)。
事後学修 無限長直線電流や無限長ソレノイドコイルによる磁界を例題により求める様にすること(2時間)。
7 A,C 微小な長さの電流によって発生する磁界を表すビオ・サバールの法則を導入し、有限長直線電流によって周囲に発生する磁界を求める公式を導出する。またこの公式により、正三角形や正方形等の正多角形電流回路の中心に発生する磁界を求める方法を説明する 事前学修 ビオ・サバールの法則を用いる計算を復習しておくこと(4時間)。
事後学修 有限長直線電流の周辺やや正多角形電流回路の中心に発生する磁界を求める方法を例題により計算すること(4時間)。
8 A,C 環状ソレノイド内の磁界や磁束密度を計算する上で重要な磁気回路の概念を導入し、磁束と磁気抵抗および巻き数Nの電流による起磁力との関係を述べる。また、環状ソレノイドに隙間(すきま)の空気部分がある場合の磁束の計算方法を磁気回路を用いて説明する。 事前学修 磁気回路の概念を調べておくこと(2時間)。
事後学修 環状ソレノイドに空気部分の隙間がある場合の磁束を例題により計算すること(2時間)。
9 A,C 磁界が存在するとき電流に働く力である電磁力について説明する。また、電流コイルを磁界中においた場合に働く回転力(トルク)とコイルの磁気モーメント(等価磁石)との関係、平行2電流間に働く力(1Aの定義)、および荷電粒子に働くローレンツ力を示す 事前学修 次回が電流に及ぼす力について予め調べておくこと(2時間)。
事後学修 電流同士の間に働く力を例題により求める様にるすこと(2時間)。
10 A,C 磁界が電流に及ぼす力から磁界が個々の運動する荷電粒子に及ぼすローレンツ力を導く。ローレンツ力から導体棒が磁界中を運動するときに発生する起電力を導出し、さらにファラデーの電磁誘導の法則とレンツの法則を説明する。 事前学修 ローレンツ力について予め調べておくこと(2時間)。
事後学修 導体棒が磁界中を運動するときに発生する起電力を例題による計算できる様にすること(2時間)。
11 A,C 環状ソレノイドの自己インダクタンスと相互インダクタンスの定義と鎖交磁束を用いた計算方法を述べる。また、環状ソレノイドの他に通信工学で大変重要な同軸円筒導体や平行線導体間の自己インダクタンスの算出法を示す。 事前学修 環状ソレノイドコイルや己インダクタンスと相互インダクタンスについて予め調べておくこと(2時間)。
事後学修 環状ソレノイドコイル、および同軸円筒導体や平行線導体間の自己インダクタンスの算出法を習得すること(2時間)。
12 A,C 導体内を電流が流れる場合の自己インダクタンス(内部インダクタンス)を求めるもう一つの方法として、静磁エネルギー(磁気エネルギー)と自己インダクタンスん関係を用いる手法について説明する。 事前学修 静磁エネルギー(磁気エネルギー)について予め調べておくこと(2時間)。
事後学修 静磁エネルギーから内部インダクタンスを含めた自己インダクタンスを例題により求める様にすること(2時間)。
13 A,C アンペアの周回積分の法則とファラデーの電磁誘導の電磁誘導の法則に、変位電流の概念とストークスの定理を適用し、すべての電磁現象の基礎となるマクスウェルの方程式の導出を行う。また電界と磁界を複素交流信号で表すと、マクスウェルの方程式から平面波を示す解が簡単に導かれることを説明する。 事前学修 今まで学んだ内容を復習しておくこと(4時間)。
事後学修 本科目で学んだ内容をさらに専門科目で活用すること(4時間)。

授業形式記号

  • A:一斉授業(通常の講義)
  • B:問題発見・解決学習、プロジェクト学習
  • C:体験、実験、実習、演習など
  • D:調査 分析、解析など
  • E:ものづくり、作品制作
  • F:グループワーク(ディスカッション・ディベートを含む)
  • G:プレゼンテーション
  • H:地域・企業 連携型学習
  • I:その他

到達目標

1.電流と抵抗(第1~3回)
磁界を理解する上で基礎となる電流の性質とその大きさを左右する抵抗の性質を学ぶ。
2.物質の磁気的性質(第4~5回)
磁性体による磁界と磁気モーメントについて理解する。
3.電流による磁界(第6~8回)
アンペアの周回積分の法則,コイル内の磁界,ビオサバールの法則,磁気回路の理解を深める。
4.電磁誘導(第9~12回)
磁界中の電流に作用する力,磁界中の荷電粒子に作用する力,ファラデーの電磁誘導の法則,自己および相互誘導とインダクタンスを求める。
5.電磁波(第13回)
変位電流,マクスウェルの電磁方程式,電磁界の波動方程式,平面電磁波の導出を学ぶ。
以上により,電磁気学1の電気現象とともに本科目により磁気現象を学んだ上で最後にマクスウェルの方程式を理解することにより,3年次以降の電磁波現象を本格的に扱う無線工学や光波工学関係の専門科目を修得するうえでの確固たる基盤を構築することを目標とする。

本科目に関連するディプロマ・ポリシー項目
〇2024年度以降入学生
下記、記載のカリキュラムマップを参照。
https://www.osakac.ac.jp/about/policy/faculty/
※各学科/専攻名称のカリキュラムポリシー下段の
 「カリキュラムマップ」よりご確認ください。

〇2023年度以前入学生
 修得する資質・能力:知識・理解力、応用力【DP-F-1-1】
          :総合的な学習経験と創造的思考力【DP-F-4-1】

評価方法と評価観点

評価方法 配点合計知識・理解力応用力コミュニケーション力態度・志向性創造力 合計
定期試験またはレポート試験 50% 50% 30% 20% 100%
小テスト、小論文 20% 70% 20% 10% 100%
グループワーク 0%
プレゼンテーション 0%
レポート、宿題 30% 70% 20% 10% 100%
授業での姿勢(ノート、質疑など) 0%
作品、パフォーマンス(実技、実演) 0%
その他1(具体的に: 0%
その他2(具体的に: 0%
100% 60% 25% 0% 0% 15% 100%

教科書・参考書

教科書:「2段階方式で学ぶわかる電磁気学」松浦秀治、海老原敏、前川泰之共著ムイスリ社
1年次の基礎電磁気学・演習1,2に引き続き、毎回の授業で使用します。

参考書:「電気磁気学」石井良博著コロナ社
「電磁気学例題演習」松森徳衛編著コロナ社
「電磁気学」東京電機大学編

オフィスアワー

月曜5限(17:15-18:00):A号館2F教員室(野竹孝志)
学内外の用務のため、オフィスアワーでも教員が不在となる場合があります。オフィスアワー以外であっても質問等あればいつでも教員室に来てください。

その他

1年次後期の基礎電磁気学・演習1,2と2年次前期の電磁気学1を履修しておくことが前提となる。
レポートの提出が十分ないと、追試験や卒業再試験を認めないことがある。

課題については、授業内で適宜、解説・解答を行い、フィードバックします。

実務経験のある教員による授業科目